少年期[942]もうなくなった

「はっはっは!!! なんだそれは!! 面白過ぎるだろ!!!!」


表情が戦闘開始時と変わらないどころか、更に喜びや楽しさといった……ある意味な感情が顔に出ていた。


(私も、一つ勝負しましょうか)


内心ではルウナと同じ様に戦闘狂の様な笑みを浮かべるラルは、いつでもブレスを放てるように準備を開始。


(二人とも楽しんでんな~)


そんな二人を親目線で喜びながら、ゼルートはフォーシックタートルが海中に潜らない様に攻撃魔法を放ち続ける。

今回の戦闘で一番働いているのは……もしかしたらゼルートかもしれない。



「三人とも楽しんでるわね~」


「そうでしょうか? ゼルート殿は楽しんでいるとは……」


「そう? あぁいう縛りがある状況を、あえて楽しんでるように見えるけど」


「ふむ……なるほど。確かに、ゼルート殿であればその様な状況でも楽しみそうですな」


二人の会話通り、ゼルートはなんだかんだでフォーシックタートルをなるべく海中で泳がせないというミッションを楽しんでいた。


「僕だったら、ルウナみたいにがっつり攻撃したいな~」


「自分としても、ラームに同意見だな。とはいえ、あの甲羅の中央から多数の砲撃を噴射する攻撃には驚かされた」


「そうね~。もしかしたら、ゼルートが戦争の時に使った特大攻撃魔法と同じぐらいの威力があったかしら?」


後方三人組は冷静に目の前の戦闘を観戦しながら、状況か遺跡を楽しんでいた。


「それにしても……ルウナ、なんだか甲羅を叩き割る? ことに意識が向き過ぎてないかしら」


「そうですな。戦いが始まった頃と比べて、甲羅への攻撃回数が増えた気がしなくもないような」


「放っておいても良いんじゃない? ゼルートとラルがサポートしてるんだい、なんとかなるよ」


怪物二人がメインではなく、ある程度……ゼルートに関しては完全にサポートに回っている。

その状況に、二人は改めて頼もしさを感じた。



「ハッ!!!!」


アレナたちが思っていた通り、ルウナは集中してフォーシックタートルの甲羅を狙い、砕くことに集中していた。


フォーシックタートルは超一流のタンクたちの盾に使われる様な素材であり、打撃で砕くのは容易ではない。

下手したら攻撃している側の手がやられるほどの強度を持つ。


しかし……それぐらいのことは、既にルウナも把握している。

だからこそ、自身の手で甲羅を砕いてやろうという気持ちが高まり続ける。


その結果、ルウナの拳は甲羅に罅を入れることに成功。


「ッ!!!???」


フォーシックタートル自身に大きなダメージはないが、それでもフォーシックタートルの中でルウナに対する危険度が一気に跳ね上がった。


「どちらを見てるのですか」


「ッ!!!???」


首を振ったり戻したりと忙しい動きをするが、それも仕方ない。


先程までフォーシックタートルの中で一番危険度が高かった敵が、ブレスの準備を完成させていた。

ルウナだけを集中的に潰そうと意識すれば、確実に殺られる。


腹を決め、渾身のブレスをフォーシックタートルもぶっ放す。

為の時間……発射されてラルのブレスとぶつかり合う時間の間にも、ルウナは甲羅に強打を叩きこみ続け、どんどん罅を入れていく。


「引き分け、ですね」


ブレス対決の結果はドロー。


ラルのブレスに劣らないブレスを放ったフォーシックタートルに対して、ゼルートは思わず拍手を送った。

しかし、ブレスの結果と勝負の結果は別物。


「ふんっ!!!!!!!!」


巨大な甲羅に多数の罅を入れたルウナ。


最後の決め手として……火の魔力を大量に纏った掌底を叩きこむ。


「ッッッッッッッ!!!!????」


火の魔力は叩きこまれた箇所のひび割れから一気に広がり、甲羅の下部から噴火。

この瞬間、圧倒的な防御力を誇る要塞は完全に砕かれた。


「さて、終わらせようか」


ラルはブレス勝負を楽しみ、ルウナは途中から生まれた目標を達成。


もうフォーシックタートルを相手に、殺す以外を楽しむ要素はなくなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る