少年期[941]奴を除けば一番?

「はっはっは!! 元気一杯な奴だな!!!」


「ッ……ゼルート!!!! 私はもう我慢出来ん!!!!」


まだ誰がメインでボスの魔物、フォーシックタートルと戦う決まっていない。

それにも関わらず、ルウナは周囲の小島を足場にして駆け出し、炎狼を纏った拳で巨大な甲羅を殴りつけた。


「ッ! 良いぞ、良いぞ!!!! 最高に殴りがいがあるじゃないか!!!!!」


ボス部屋は三十階層のボス部屋と似ているが、部屋の広さは四倍ほどあり、とにかく広い。

小島の面積も比例するように大きい。


(ルウナの奴、もう少し……って、先に待ったなしで水のバズーカを撃ってきたのはあっちか)


宣言通り、ラームとゲイルにアレナは基本的に戦闘へ参加しない。


「ラル、どうする?」


「……では、ルウナさんほど前に出過ぎない程度に暴れます」


「おっけ! それなら、俺は後方からサポートしとくぜ」


戦り方が決まり、とりあえずルウナとラルは動きたいように動き始めた。


「ガァアアアアアアッ!!!!」


巨大亀の攻撃は口からのブレスだけではなく、足を振れば海を切り裂く裂波になる。


(ッ!!! 口から吐きだすだけしか能がないウスノロではない……流石Aランクの魔物だッ!!!!)


ルウナはフォーシックタートルの攻撃力を直に見て……歓喜の表情を浮かべていた。


食らえば即死ではないにしろ、大きなダメージを負うのは確実。

魔力を集中させて攻撃に備えていても、吹っ飛ばされるのは確定。


(サポートありというのは、少し気に入らない、がッ!!!! 相手の強さと、場所を考えれば、仕方ないか!!!!)


ゼルートが頑張って海中から嫌がらせを行い、なるべく潜らせないようにするが、本気じゃないゼルートの攻撃魔法であれば、無視して強行突破も可能。


遊泳スキルの練度はゼルートたちよりも二回りほど上である為、亀とは思えない程の速さで海中を泳ぎまわる。


(ウォータードラゴンほど速くはないけど、にしたってちょっと……速過ぎないか?)


巨大な亀の遊泳スピードに、ゼルートは小さくない衝撃を受けながらも、工夫を凝らしながらフォーシックタートルを海上へと押しやる。


「ぜぇぁぁああああああああッ!!!!」


ポ〇モンほど単純な話ではないが、水属性の魔物であるフォーシックタートルには、火属性の攻撃は少々効き辛い。


ただ、属性と放たれる拳や蹴りの攻撃力は、また話は別。

相手の防御力……特に甲羅の防御力が尋常ではなく高い分、ジャストタイミングで拳や蹴りをぶち当て、少しでも威力を中に浸透させようとする。


無意識にそれを実行するセンスを発揮し、戦闘が始まってから数分後、甲羅の所々にヒビが入り始めた。


「ッ!!!!!!!」


「ぬわっ!!!???」


ルウナの口から乙女らしからぬ言葉が零れたが、今しがた放たれた攻撃を食らいそうになれば、うっかり出ても仕方ない。


フォーシックタートルは甲羅の中心分が火山口になっており、そこから魔力を放出し、無数の砲撃を発射出来る。

放たれた砲撃は後方で観戦しているアレナたちの方にも何撃か放たれたが、殆どがゼルートとラル、ルウナに向けて放たれた。


甲羅を殴った直後に放たれたこともあり、ルウナは本当にギリギリのタイミングで回避……して終わる訳がなく、砲撃は甲羅に当たって自爆することなく、標的を追撃。


「おらおらおらおらッ!!!!!!!」


ルウナはほんの一瞬だけで全力ダッシュで海面を走って小島に移動し、追撃してきた砲撃全弾粉砕。


ゼルートとラルも同じく全弾相殺に成功。

しかし……攻撃力や技範囲だけなら、ゼルートのワイバーンスコールに引けを取らない遠距離攻撃を放ったにもかかわらず、フォーシックタートルの魔力量はゼルートたち思っていたほど減ってはいなかった。


(こいつ……悪獣を除けば、総合的なステータスはアシュラコングやエボルサーペント、ミノタウロスの亜種やキングヴェノムサーペント以上か!?)


本当に予想外な強敵だと改めて認識。


全員同じ感想を抱いたにもかかわらず……挑戦者たちの表情は、一切変わっていなかった。

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