少年期[877]何が目的なのか
ゾンビアイスタイガー以上の存在を感じた方に向かうと……そこには、一体のドラゴンがいた。
「おいおいおい、マジか」
「マジ、みたいね」
「ふむ……さすがに色々とおかしいな」
大きな気配の正体は、ゾンビスノードラゴン。
Aランクの魔物であり、ドラゴンの一種。
先程のゾンビアイスタイガーと同じく、体の所々が腐食しており、ゼルートたちの戦意を削ぐ。
しかし、目の前のデカ物を放っておけないため、誰かが戦わなければいけない。
「それでは、今回は私が戦いましょう」
「悪いな、ラル」
「いえいえ、楽しそうな相手ですし、全く苦ではありません」
体の大きさをチェンジし、それなりの大きさまで成長させ、戦る気満々な雄叫びを放つと、ゾンビスノードラゴンも負けじと雄叫びを上げ、二頭のドラゴンがぶつかり合う。
「通常の姿に戻ったラルでも、まだ小さいって感じだな」
全長五メートルは完全に超える姿となったラルでも、ゾンビスノードラゴンと比べれば、まだ小さい。
しかし、そのパワーやスピードは全く負けていない。
(片方はゾンビ化してるとはいえ、ドラゴン対ドラゴン……いや~~、こんな戦いが観れるなんて、本当に幸せだな)
従魔に戦闘を任せた男が思う内容ではないが、アレナやルウナも似た様な気持ちを持っていた。
「今更だけど、ゲイルは参戦しなくて良かったのか?」
「えぇ、あまり好みのタイプではないので」
「はっはっは! それもそうか。俺もゾンビ系の魔物でも、人型だったら戦る気が起きてたかもな」
軽口でゲイルと言葉を交わすゼルートだが、先程までアレナたちと話していた会話の内容について、真剣に考え始めていた。
(ゾンビアイスタイガーとゾンビスノードラゴン……さすがに、こいつらが二体ほぼ同時に現れるってのは、普通に考えてあり得ない)
偶々、何者かに殺された高ランクの魔物が、死体を処理されず……ゾンビ化することは、絶対にないとは言えない。
しかし、二体も近い範囲にゾンビ化した高ランクの魔物が現れることは、まずない。
誰かしらが故意に蘇らせていなければ、絶対にあり得ない。
「アレナ、今回のことはギルドに報告した方が良いよな」
「そうね。まだ、これからも続く問題だと確定してはいないけど、普通に重要視すべき内容ね。私たちが見つけていなければ、多くの犠牲者が出てもおかしくなかった」
ラームやラルだからこそ、嬉々として命懸けのバトルを楽しめる。
普通の冒険者たちが遭遇してしまったら、死を覚悟するほかない。
「仮に高位のアンデットがこいつらを召喚してたとして……いや、そもそも高位のアンデットがスノードラゴンを倒せるか?」
Aランクの中では、下位に位置するドラゴン。
機動力が高くなく、パワーと防御力はそこそこ。
ブレスは決して弱くはないが、同じAランクのアイスドラゴンの方が上。
とはいえ、腐ってもAランクのドラゴンなため、同じ高ランクの魔物でも容易に倒せる相手ではない。
(高位のアンデットが一体だけじゃなく、複数いて……そいつらが徒党を組めば、倒せなくはない、か?)
決して不可能ではない。
高位のアンデット、ネクロマンサーなどが組めば、スノードラゴンを倒してゾンビとして復活させることが出来る。
出来るが……何故そんなことを? というのが一番の疑問。
「ダメだ、全然これかもしれない! って予想が浮かばない」
「私もよ。仮にスノードラゴンを倒せて、ゾンビ化出来るようなアンデットが本当にいるなら……近いうちにホルーエンが狙われるかもしれないわね」
「……ホルーエンそのものか、腰を下ろしている貴族に恨みを持つアンデットかもしれないってことか」
「可能性の一つだけどね」
何にしても、無視できない問題がホルーエンにある。
特に今後の予定が決まっていないゼルートは、自分たちの力で解決出来るのであれば、解決しようと決めた。
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