少年期[861]休み時間?

「ゼルートさん、少し良いですか」


「あぁ、良いよ」


授業の終了後、一人の生徒がゼルートの元を訪れた。


授業中には質問出来なかった事を尋ね、アドバイスを求める。


「それはな……」


生徒からの問いに、ゼルートは今までの経験や知識を活かし、質問に対して真面目に誠実に答え、自分なりのアドバイスを与えた。


「ありがとうございます!!」


「おう」


離れた場所で見ていた接近戦タイプの生徒が、待ってましたと言わんばかりにダッシュで近づき、先程の生徒と同じくゼルートに質問し、アドバイスを求めた。


(イーサンさんでも答えられるんじゃないか?)


そう思いつつも、自分に尋ねてきた生徒の目は真剣そのもの。

であれば、こちらも真剣に答えるのが礼儀というもの。


移動しながら元気の良い生徒の質問に答えると……また、新たな生徒がゼルートの元に質問しに来た。


(皆意欲的だな~。私立に通ってなかったから不思議に感じるけど、意識高い系の学校だと、こういうのが普通だったのかもな)


前世の記憶を思い返しても、わざわざ教師に授業内容などに関して質問を行うことなどなく、休み時間は休み時間らしく、友達と喋っていた記憶しかない。


そしてゼルートの休み時間はアドバイスを求めてきた生徒の対応を行っていると……あっという間に消えてしまい、次の授業を行うことになった。


ちなみに、ゼルートが生徒たちからアドバイスを求められている間、アレナたちも同じ状況になっていた。


「ゼルート、ちょっと良いか」


「? どうしました」


三時間目が終わった後、先日の飲みで顔を合わせた体格の良い男性教師が声を掛けてきた。


「もし良かったらで良いんだけどさ、従魔の誰かを貸してもらえねぇか」


「魔物との戦闘を体験させておきたいってことですね」


「おう、そうなんだよ。こんな機会、滅多にないからな」


「ん~~……だれか行っても良いってやついるか?」


ゼルートがラルたちの方に顔を向けると、真っ先にゲイルが手を上げた。


「自分が行きましょう」


「ありがとな、ゲイル」


「ただ、条件があります」


「?」


ゲイルを人差し指を、体格の良い男性教師に向けた。


「そちらの教師が、自分と一戦交えてくれるのであれば、受けましょう」


「……って言ってるんですけど、どうですか?」


「は、ははは。いやぁ~~~……ふふ、良い闘志を向けてくれるな」


ゲイルからの条件に一瞬戸惑ったが、直ぐにその条件を承諾した。


「あぁ、分かった。授業が終わる十分前ぐらいになったら、やろうか」


という訳で、一旦ゲイルとは別れて座学へと移る。


今回の座学では、主に冒険者として活動するうえで必要な道具などについて説明。

街によっての相場などはアレナの方が詳しく、この授業で残り二人は殆ど話すことはなかった。


(ふむ、昔のアレナはかなり頭を使って生活していたのだな。私には絶対に無理だ)


脳筋担当である自分には、絶対にアレナように色々と考えながら買い物をしたりするのは無理だと思い、改めて仲間の知識について感心。


(頑張れば自分で出来る……ってのは、俺が前世の記憶があるから言えることだよな)


無論、今から卒業までに裁縫や錬金術を習い始めることは出来る。

しかし……卒業まで一年弱ということを考えると、意外とそちらの才があるものでないと、実際に役立つレベルまで腕を上げるのは厳しい。


「世の中には、ゼルートみたいになんでも自分でやってしまう頭のおかしい人がいるけど、皆はそんなところまで真似しようと張り切っては駄目よ。絶対にどこかで倒れてしまうから」


「おい、頭おかしいって言うなよ」


ゼルートのツッコミでクラスに笑いが起こるが、確かにゼルートの万能っぷりは頭がおかしいと思ってしまうレベルだと、イーサンは顔には出さずに心の中でアレナと同じことを思っていた。


「丁度時間になったわね。それじゃ、午後の授業に備えてしっかり昼食は食べておくように」


アレナがメインの座学は無事に終了し、食堂でゲイルと合流した。

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