少年期[813]優しいが、そこは変わらない
戦争が始まってから数分後、ようやくクライレットやレイリアたちは敵国の者とぶつかり合い始めた。
「生徒たちに気を配りながら動くぞ!!!」
「おうよ!!!」
「任せて!!」
「了解」
圧倒的な速さでDランクとなり、元々の頭の良さから指揮も取れる。
冒険者歴はゼルートよりも短いが、冒険者ギルドとしては特例で今回の戦争が終わり、生き残ればクライレットとそのパーティーメンバーをCランクに上げるべきだと考えている。
協調性も高いので、同ランクの者たちや歳が近い者たちも良い友好関係を築けている。
ただ……自分がバカにされる分には構わないが、家族や仲間がバカにされると当然……一気に感情が爆発、噴火する。
実力があって身長は百八十を超えており、インテリイケメンフェイスを持ち、尚且つ人望もあるクライレットを妬む者はそれなりにおり……うっかり逆鱗に触れてしまった愚か者は少なくない。
そういった者たちにはゼルート直伝の金玉潰しが行われ、二度と女性を抱けなくなったものも少なくない。
「ちっ!! ガキのくせに強ぇじゃねぇか!!!!」
「先輩方からそう言われるのは光栄だが、戦場で容赦しませんよ」
「当たり前だ!!!!」
後先のことなど関係無くバフ全開で斧を振り回す敵国の冒険者に対し、クライレットは冷静に周囲から攻撃が飛んでこないか確認しながらジワジワと責める。
「のあっ!!??」
「シッ!!!!」
そして魔力を消費して生み出した水をバレない位置から地面に落とし、泥をつくり……斧使いはそれに気付かず、盛大に体勢を崩した。
その隙を待っていたクライレットは軽く跳び、隙間を狙ってレイピアを首に突き刺した。
「ぎっ!? くそ、が……上手すぎん、だろ」
「褒めて頂き光栄だ、先輩」
喉を一突き。
再生のスキルや高速回復、もしくはそれらの効果が付与されたマジックアイテムがなければ、痛恨の一撃となる。
「調子乗ってんじゃねぇぞ!!!!」
「調子には乗れませんよ」
あっさりと無傷で斧使いを倒したクライレットに注意が向き、即座に新たな敵が襲い掛かる。
(双剣使いか……これは不運だな)
勿論、クライレットが不運なのではない。
不運なのは、ほぼ毎日仲間の双剣使い……バルガスと模擬戦を行っているクライレットと戦うことになった双剣使い。
手数は確かに双剣使いの方が多いが、ゼルート程ではないにしろ、クライレットも通常のルーキーとは文字通りレベルが違う。
片方の剣を振るい、次にもう片方の剣を振るう。
基本的に双剣使いが同時に刃を振るうことはない。
その間に身体強化のスキルを使って加速し、双剣使いの感覚を狂わせる。
「がっ!?」
振ろうとしていた肩を貫き、双剣使いの動きが鈍る。
「乱れ突き」
その瞬間を見逃さず細剣術のスキル技を発動し、喉も含めて複数個所に刺突を放つ。
「さぁ、次だ」
勿論双剣使いが最後に一矢報いることなど出来ず、ブラックアウト。
クライレットは徐々に迫りくる新たな敵に眼を向けた。
「リーダーばっかりに良い格好させないぜ!!!」
「そうね、私たちも頑張りましょう」
「いっくぞ~~~!!!!」
クライレットのパーティーメンバーである虎人族であるバルガス、エルフのペトラ、人族とドワーフのハーフであるフローラは直ぐにクライレットをサポートできる位置で戦いながらも、基本的には三人の連携で迫りくる敵兵や冒険者を潰していく。
双剣を体術を使うバルガスと大斧やバトルアックスを使うフローラが前に出て、弓や魔法でサポートするペトラが後衛として役割を果たす。
いつもはそこにクライレットも入れて四人で戦っているが、優秀な三人と比べてもクライレットの実力は頭一つ抜けている。
それを三人も理解しているので、今回の戦争に限ってはクライレットだけ基本的に一人で敵の対処を行っている。
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