少年期[719]我ながら良き
「よし……こんなところか」
ゼルートの目の前には二体の錬金獣が立っていた。
「ふふ、この二体があればクライレット兄さんやレイリア姉さんが危険に晒されることはまずない筈だ!!!」
二人とも冒険者として生きていく上でそれはどうなのか?
そう思う者が多いと思うが、過保護上等!!! それがゼルートだった。
現にゼルートのアイテムバックやリングの中にはゲインルート家に仕える兵士たちに渡す武器や防具、マジックアイテムが大量に入っている。
以前、同じ様に店で買った武器を渡したが、それでも後一か月もしない内に戦争が始まる。
それを考えれば少しでも兵士たちが生きて帰って来れるように努力しようとするのは、決して悪いことではない。
「この感じ……多分、キングやクイーンに負けてないな」
ゼルートが実家を出て冒険者になる際に、父であるガレンに好きに使って欲しいと伝え、チェスを模したキングからポーン……計、十六体の錬金獣を渡した。
そして錬金獣の強さはポーンからキングの順に強くなり、キングとクイーンの強さはAランク冒険者に負けず劣らず。
スタミナという点に関しては動力である魔力が切れなければ、それまではノンストップで動き続ける。
アレナやルウナはゼルートが造り上げた錬金獣という存在は、とんでもない兵器だと勘違いしているが、ゼルートから見れば意外とそうではない。
魔物のゴーレムと違って永遠と動くことは出来ない。
動力である魔力の限界値はゼルートの無茶苦茶な技量によって基本的に際限がないが、魔力を注ぐのは持ち主でなければならない。
錬金獣は基本的に魔力を登録した者の言葉を最優先に動く。
動力の魔力を充電するのにゼルートほど化け物の様な魔力を持っていれば苦労はしないが、魔力が少なめの傾向にある斥候や前衛の戦士や剣士の人たちにとっては一度に大量充電するのが難しい。
(造ろうと思えば、そこら辺を取っ払った錬金獣を造れるかもしれないけど……さすがにそんなの造ったら、本当に色々と駄目だよな)
ゼルート単体で軍隊に匹敵する戦力を持っているが、ゼルートが錬金獣に魔力を動力にするという要素を取っ払ってしまうと、真面目に軍隊という戦力を素材さえあれば一人の人間が造れてしまう。
(別に将来的に国を持つとか絶対にあり得ないし……てか、領地すら貰う気全くないし。冒険者として国中を……国外を回りつくしたら実家に戻って後進の育成とか? クライレット兄さんの補佐というか相談役? そんな感じで働くのも悪くないな)
やることをやりつくしたなら、実家に帰ってやりたいように過ごす。
それがゼルートの老後のプランだった。
命家や国から是非ともうちに使えてほしいと頼まれても、どんなに良い待遇を用意されていたとしても受けるつもりは一ミリも無い。
(それか錬金術師として老後を楽しむのもありか……ポーションとか造って家に渡してれば、それも助けになるだろうし……錬金獣以外の物を作るのに挑戦しても良いよな)
造るのは嫌いではないが、それよりも自身を鍛えることに集中する時間が多く、錬金獣やポーション以外の物を作る機会は殆どなかった。
「まっ、そんなこと考えるのはもっと後で良いか。てか……レイリア姉さん用に造ったこいつ、自分で言うのもあれだけど……良いな」
デスナイトの素材をメインに使われた漆黒の三面騎士。
簡単に言えば、西洋の阿修羅といったデザイン。
脚は二つが、腕はきっちり六つある。
そして扱うロングソードに関してはデスナイトが元持つ使っていた物をゼルートが錬金術で改良を施してある。
加えて、空間魔法の要素を少しだけ組み込んでいるので六つのロングソードを亜空間にしまって肉弾戦で戦うことも出来る。
そして本職ほどではないが、魔法も使える超ハイスペック個体。
(……今度、自分用に造ろっかな)
アイテムリングの中に自作の錬金獣はあるが、レイリアの為に造ったようなタイプはまだ持っていなかったので、自分用に欲しいと思ってしまったゼルートだった。
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