少年期[615]この先何度でも

「まさかゼルートの攻撃が破られるとはな……やはり少し油断していたか?」


「まぁ……そうだな。心の中でどこか、これぐらいの攻撃で良いだろって油断していた面はあった。だから次の聖拳は結構思いっきり殴ったけど」


ゼルートのライトブレイクで威力が弱まっていたとはいえ、木端微塵に砕くほどの強さで殴りつけた。


「あんなパンチを食らったら大抵の攻撃は弾け跳ぶわよ……それでも呪いの影響がないか心配するけど」


「……うん、本当に特に問題はない」


鑑定眼で確認したが、自身の右拳に異常はなかった。

もし呪われていたとしても、魔力量に物を言わせた解呪でだいたいの呪いは霧散出来る。


「はぁーー、潔くゼルートに譲ったが、是非戦いたい魔物だったな」


「ルウナがそう思うのも解る強さだったよ。戦闘経験が豊富なのか、元からセンスがあるのか知らないけど、中々強かったよ。マジで」


過去に戦ったオークキングより満足できたかもしれない。

そう思えるほどに、リビングデットジェネラルとの戦いは密度が高かった。


(ここから先はああいった魔物が増える……ははっ、そう考えると更にテンションが上がってくるな)


ダンジョン探索、宝箱のゲット。

そういった内容もゼルートにとってテンションが上がる内容だが、やはり強い魔物との戦いも自然とテンションが上がってしまう。


「でも、ここから先はリビングデットジェネラルみたいに強い魔物が何度も現れるだろ」


「そうか? ふふ、それなら本当に楽しみだ」


強敵との戦いを期待し、瞳に炎が宿るルウナ。


「そうですな。それはそれは……とても楽しみです」


二人と同じく戦闘大好き者のゲイルも子供が見れば、思わず泣いてしまいそうな笑みを浮かべていた。


「三人共、ちょっと笑みが怖いわよ」


ゲイルだけではなく、ルウナとゼルートの笑みも戦意を含んでいて、どこか恐ろしさを感じさせる。


(ベテラン以上の冒険者でも恐ろしくて攻略スピードを落とす様な階層なのに……でも、全員の力を考えれば問題はない……それは解かる。けど、強い魔物と戦いたいがために、攻略しピードを上げそうね)


もう慣れた。アレナはこの三人の戦闘大好きな思いに慣れた。


だが……メンバーの中では一番常識人のアレナとしては、上層や中層ではないのである程度緩やかなスピードで進めたい。


「僕は人型じゃなくて、もっと大きい魔物と戦ってみたいな~~」


「私もどちらかと言えば、人型より異形系の魔物と戦いたいですね」


残りの二人も基本的には戦い大好き思考。


「はぁ~~、皆が強い魔物と戦いたいのは解かったけど、今の目的は忘れてないでしょうね」


「あぁ、ちゃんと覚えてるよ。依頼された素材と鉱石を集めることだろ」


「そうよ。折角こんなダンジョンに来てるのだから強い魔物と戦いと思うのは悪いとは言わないけど、目的を持って潜ってるのだから、それを忘れちゃ駄目よ」


「……もしかしてアレナも強い魔物と戦いたいって思ってるのか?」


「なんでそうなるのよ!! 私は基本的に結構よ。今回みたいに周りの魔物を倒してるだけで十分よ!!!」


そう思われるのは非常に心外だ。

ただ……アレナの冒険者としての本能がそんな戦いを求めていないかといえば……それは否かもしれない。


「お、おう。分かったからそんなに怒るなよ。ちゃんと依頼も達成するしさ」


「解ってれば良いの……でも、今回集める素材の中で一番重要な聖魔石はそう簡単に手に入らない物。それだけは覚えておきなさいよ」


強敵を倒しても一回でゲットできないかもしれない。

聖魔石はそれ程入手が困難な鉱石であり、聖剣を造るには必要不可欠な素材。


依頼の期限までに、絶対に手に入れなければならない。


「それは何度も聞いたって。安心しろよ……それに関してはちゃんと、良い手を考えてるからさ」


「そ、それなら良いのだけど……ゼルート、その笑みはさっきと違う意味でちょっと怖いわよ」


「そうか……まっ、安心しろ。別に悪いことをしようって訳じゃないからな」


そう……悪い事をするつもりは全く。

反則技かもしれないが、悪徳な手段ではない。


それだけはハッキリと言える手段をゼルートは考えている。

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