少年期[613]逃した獲物は大きい
「むぅ……気前よく、相手を譲った手前あれだが……ちょっと惜しいことをしたなと思う」
「ルウナ殿に同意ですな。あれはそこそこ骨がある」
転がっているリビングデットナイトの回収を終え、ゼルートとリビングデットジェネラルの戦いを観戦しているのだが……約二名ほど、ゼルートにジェネラルの相手を譲ったことを後悔している人物がいた。
「スタミナに限界がないというのは……中々良いサウンドバックだ。それに呪力を使う相手とは戦ったことがない。是非とも戦ってみたかった」
「ルウナも物好きねぇ~。私は呪力を使う相手なんかと基本的には戦いたくないわ。あれをモロに食らうと本当に厄介なんだから」
過去に呪力を使用する魔物との戦闘経験があるアレナとしては、なるべく戦闘を避けたい相手。
呪力は武器や体を魔力でガードしていなければ体に効果が現れる。
そして魔力を纏っていたとしても、強度が相手の呪力に劣っていれば……侵食されてしまう場合もある。
「確かに呪力は厄介かもしれませんが、触れなければどうということはないでしょう」
「僕もそう思うなぁ~……だって、そこそこ速いみたいだけど、動きにあまり変化がないから集中していれば当たることはないよ」
「……今の段階ではラームの言う通りね。でも、やっぱり私はちょっと苦手ね」
呪力は長剣に纏われているか、斬撃……もしくは刺突という形で飛ばされる。
攻撃のパターンは少ないのでスピード寄りのゼルート達からすれば、大した脅威ではない。
苦手意識を持っているアレナもどちらかといえば速さ寄りのステータスなので、ジェネラルの攻撃はヘマをしなければ余裕で躱せる。
そしてアレナの最大火力であれば、呪力を焼き払うことも可能。
「まぁ、ゼルートは完全に楽しんでいるみたいね」
「そりゃ楽しむだろう。確かに速さは少々足りないかもしれないが、やはりスタミナが尽きないという点は素晴らしい」
ゼルートとバチバチに殺りあっているジェネラルは既に様子見をやめ、全力で戦闘を続けている。
勿論、身体強化系のスキルは使用し続ければ魔力が減るので、いずれ底が尽く。
だが、そもそも肉体という概念がないリビングデットジェネラルに疲れという感覚はない。
「あっ、跳んできましたね」
「僕に任せてよ!!」
ジェネラルが呪力の斬撃を乱れ飛ばしたお陰で、ゼルートはサラッと躱したので斬撃がそのままアレナ達が立っている後方へと飛んできた。
しかし、すかさずラームが前に出て斬撃分の触手を生み出し、そこそこ魔力を使用した水の斬撃を放って相殺した。
「……へぇ~~~~。結構強力なんだね」
念の為、普段よりも魔力を多く使用して放った水の斬撃だが、呪力の斬撃とぶつかった後に打ち勝つのではなく、相殺という結果になった。
「まだまあ力に余裕がありそうだし……本当に結構強い感じだね」
「むっ、やっぱりそうだったか……やはりここは譲らず戦うべきだったか」
「ルウナは最近そこそこ強敵と戦ってるでしょ。別にリビングデットジェネラルぐらい、ゼルートに譲っても良いじゃない」
「しかしゼルートは……いや、アレナもソウルコネクトを使用したリビングデットナイトと上位種のリザードのコンビと戦ったじゃないか」
確かにホーリーパレスの探索を始めてから強敵と戦う回数が増えた。
それは認める。
ただ、ルウナとしては美味しい戦いをなんだかんだで逃している気がするのだ。
「私はラームと一緒に戦っていたのだけど……」
「僕はあの戦いの最中は、殆どなにもやってないよ。九割方、アレナの力で倒しちゃったからね」
「ほら、結局アレナ一人で楽しんでるじゃないか!」
「いや、私はそもそも楽しんでないからね。ある程度本気で戦う感覚を取り戻そうとしてただけだから」
実戦を楽しんでいるという言葉はまことに不本意。
アレナは魔物との戦いを楽しんでいるつもりはこれっぽちもない。
そう、これっぽっちもないのだが……偶に戦闘中に笑みを浮かべていることがある。
その笑みにはどういった意味があるのか……それはアレナにしか解らない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます