少年期[565]やはり持っている
「えぇ~~~……マジか」
「マジみたいね」
三十階層のボス部屋までやって来たゼルート達はしっかりとボスに挑む順番を守り、ようやくボス部屋に入る。
ゼルート達の前に入ったパーティーは見事にボスを倒して突破した。
三十階層のボス部屋にはライトリザードの他に三体のリザード。
全てCランクの魔物だが、リザードはそこまでスピードが無いので仮に四体いたとしても戦い方さえ分かっていれば難無く勝てる。
だが、四体と数は多いので四人パーティーでは少々厳しい。
なので一時的に他のパーティーと組んで倒すパターンが多い。
「……あれだな、俺らって何かを持ってるよな」
「そうみたいね」
三十階層のボス部屋には稀にライトリザードと三体のリザードではなく、ロックリザードとフレイムリザード。
そしてその二体の上にリビングデットナイトが跨っている。
「竜騎士……で良いのか」
「そんな感じっぽいな。リザードだから空は飛べないけど……うん、それっぽいな」
二体のリザードの上に跨っている魔物がリビングデットナイトということもあり、余計に竜騎士に見える。
性格まで騎士らしいのか、ゼルート達が未だに自分達に戦意を持っていないこともあり、攻撃をしてこない。
「……ゼルート、戦うか?」
「珍しいなルウナ。お前はまっさきに戦いと宣言するって思ってたんだけどな」
「確かにあれはあれで楽しめるだろう。だが、少し前にサイクロプスと戦ったからな。今回はゼルートに譲ろうと思う」
「そうか……それなら、久しぶりのボス戦といこうか。もう片方は誰が相手する?」
ゼルートが皆の方に顔を向けると、これまた珍しくアレナが手を上げた。
「たまにはこういった戦いに参加しないと体が鈍りそうだからね。でも……ラーム、後ろから援護してもらっても良い?」
「もちろん!!! 任せてよ!!!」
ということで、ゼルートはランドリザードとリビングデットナイトの相手を。
そしてアレナとラームはフレイムリザードとリビングデットナイトの相手をすることになった。
ゼルート達の様子から準備が終わり、戦意が宿った事を確認したボスは構え、息を荒くする。
「よぉし……そんじゃ、久しぶりに暴れるか」
「私もしっかりと体を動かさないとね」
二人共身体強化のスキルを使い、竜騎士? に襲い掛かる。
それに応えるようにリザードの上位種に跨るリビングデットナイトは手に持つバスターソードで迎え撃つ。
「ガアアァァアアアアアッ!!!」
「ッ、砂のブレスか……それはそれで面倒だな」
攻撃方法はリビングデットナイトの剣撃だけではなく、当然リザードの上位種も攻撃してくる。
ブレスだけではなく鋭い爪を、斬撃の様な切れ味を持つ尾を振り回す。
(まさに騎士と騎獣が一体となって動いてるって感じか。リビングデットだから声が出ないのは当たり前なんだけど、お互いに言葉を発さずにここまで動けるってのは……中々に反則だな)
ライトリザードと三体のリザードが相手ならば勝てるパーティーであっても、このランドリザードとフレイムリザードに跨るリビングデットナイトと戦って勝てる保証は無い。
(……こいつら、速いわね。上位種のリザードが通常種のリザードより速いのは当然だとしても、それでも速い)
アレナの感想は正しく、ランドリザードとフレイムリザードは他の上位種のリザードと比べてスピードもパワーも上がっている。
それはリビングデットナイトが持つスキル、騎獣一体の効果によって騎獣に乗っている間だけはスキルの使用者と乗っている騎獣の身体能力が向上される。
ちなみにゼルートも騎獣のスキルを有しているが、今のところゼルートがラルと一緒に戦う程の強敵には悪獣以外出会っていないので使う機会が無い。
「はっはっは、鈍った体を動かすには丁度良い相手なんじゃないか、アレナ!!!」
ゼルートも敵の力に気が付き、気分が高揚し始めている。
「ふーーー……確かにそうかも、しれないわね!!!」
常に強敵との戦いを望むような考えを持っていないが、今のアレナにとっては本当の意味で戦意に火を付ける丁度良い相手だった。
(こういうのを、心が躍るって言えば良いのかしら?)
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