少年期[522]人に使うのは禁止だよ

「雷魔法を使わず……それじゃ、水魔法を使うの?」


「それも後で復活させるの面倒だからな。闇の方を使うんだよ、スリープドリーム」


闇魔法のスキルを習得する事で使えるスキルだが、あまり内容としては闇という言葉が似合わない内容だ。

スリープドリームを受けた魔物は襲い来る睡魔にやられ、強制的に夢の中へと放り込まれる。


だが、魔物の強さによってはその睡魔を弾き飛ばす個体も当然存在する。


そしてゼルート達の捕獲対象であるフォレストリザードには・・・・・・なんとか通用した。


「多少は抗おうとしたみたいだけど、無駄だったみたいだな」


「スリープドリーム……確かそれって基本的に人に向けて使用禁止の魔法だったわよね」


「そうだったな。スリープドリームで見せる夢は本人が望む妄想。故に魔法を掛けられた本人はその夢から覚めたいと思わない」


「だから他人に起こされない限り起きることは無く、延々に眠り続ける。……因みにだけど、ゼルートは呪いバージョンも使えるの?」


「一応な」


スリープドリームは熟練度によって呪いバージョンを使えるようになり、呪いバージョンのスリープドリームは解呪魔法のディスペルを使用されなければ夢から覚めることは一生無い。


「本当に魔法の腕に関しては多種多様に使えるわね」


「俺の才能は武器や素手での戦いよりそっちに向いてるみたいだからな」


完全に夢の中へとフォレストリザードを誘ったのを確認したゼルートは岩の鎖も重力も消す。

そして土の魔力を使用して即席の檻を完成させる。


「ロックプリズン、完成だな」


「・・・・・・これって、いつも移動する時に使ってるトラック? の車輪を付けてるのね」


「おう、その方が移動させやすいし、こういう依頼で使う檻には基本的に車輪が付いてるもんだろ」


「そうね。でもこれだけ頑丈そうな檻をタダで……やっぱりゼルートは色々と反則よね」


「重々自覚してるよ。それじゃ、俺達の目的は終わったからとりあえず街に……なぁ、ラーム。なんかこっちにやって来てないか?」


フォレストリザードは無事捕らえて一安心したゼルートの耳に何かが激しく動く音が聞こえた。

しかもその音は徐々にゼルート達のところに近づいてきている。


「本当だね……もしかしたら馬系の魔物かな?」


「・・・・・・みたいだな」


ゼルート達の目に映る魔物はバトルホース、フォレストリザードと同じCランクの魔物だった。

普通の馬とは体の大きさが異なり、その一蹴りは鉄の板を容易に貫く。

そして防御が薄い冒険者ならばその一蹴りで絶命する場合もある。


「バトルホースの後ろからも何人かの足音が聞こえる」


聴覚上昇のスキルを使用しているラームの耳にはバトルホース以外の足音も聞こえており、複数の冒険者か兵士が近づいてくる事に気が付いた。


「もしかしたら同業者かもなぁ……それなら足止めの方が良さそうだ。ロックバインド」


自分達と同じ依頼を受けている冒険者がバトルホースを追っているかもしれないと考えたゼルートは動きを封じる為にロックバインドを使用した。


「ブルルルルッ!!!!」


「おっと、中々に暴れ馬だな。それとも単に攻撃されたから気性が荒くなってるのか?」


「バトルホースは基本的に戦闘になると暴れまわるものよ。それと……どうやらバトルホースを追っていた人達が来たみたいね」


木々の奥から複数の冒険者が現れ、その者達は自分達が追っていたバトルホースが岩の鎖に捕らわれているのを見てもしかしたら横取りされてしまったのかと思った。


「おい、もしこいつの討伐依頼ならあんたらが殺しても良いし、捕獲依頼を受けてるなら捕らえても良いぞ」


「えっ、あ……そ、そうか、助かった。おい、あれをぶち込めッ!!!」


「はい!!!」


リーダー格の一人が狩人の格好をした少女に指示を出し、少女は特別の矢を放ち……その矢は見事にバトルホースに命中した。


そして矢が体に刺さったバトルホースは次第に動かなくなり、ゼルートのロックバインドが不必要な状態となった。

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