少年期[520]幸先良い結果
「なんか向こうの方で結構バチバチなバトルをしてる奴らがいたぞ。しかも地面から木の槍がいきなり飛び出てきた」
「それはもしかしたら片方がフォレストリザードって可能性が高そうね」
「行ってみる?」
「そうだなぁ……行ってみよう」
アレナの言う通り、木の槍を生み出した魔物がフォレストリザードかもしれない。
しかしゼルートはその木の槍の大きさが気になっていた。
(リザード系の魔物ってそんな強力な魔法を使えるものなのか? いや、同じ系統の魔物でも得意不得意はあると思うけど……やっぱり何か変な気がする)
ゴブリンの上位種にゴブリン・メイジが存在するならリザードの上位種であるフォレストリザードが魔法に特化していてもなんらおかしくは無い。
(けど、魔法が得意だけで暴れるのも得意とか……それって中々に冒険者からすれば厄介な存在だよな)
ゼルートも魔物からすれば接近戦も遠距離戦も行える厄介な存在だが、その考えは決して間違っていない。
基本的にリザードの体は他の魔物と比べて大きく堅い。
森の中で生息する魔物中でリザードより大きな体躯を持つ魔物はそうそういないだろう。
その巨体で堅い体躯で暴れられたら、防御力が低い冒険者ならば紙のように飛ばされてしまう。
「到着っと……うん、中々は派手に戦ったみたいだな」
「そうね、これだけ派手に戦っていたらその音や血の匂いに釣られて他の魔物もやって来そうだけど……流石にあの威圧感を放つフォレストリザードには近づかないでしょうね」
「ん~~~~……なんか、あのフォレストリザードって変だよね」
ゼルート達の目の前には二体のグレーグリズリーを倒し終えたフォレストリザードが堂々と立っており、三人の方向に顔を向けている。
「変て……何が変なんだ?」
「何て言うか……らしくない、と思うんだよね」
「基本的にフォレストリザードは魔物の中でも大人しい性格だけど……グレーグリズリーから戦いを仕掛けられたのだから、仕方なく応戦したわけじゃないの?」
街の外は完全に弱肉強食の世界であり、格上の魔物に対してランクが一つ下の魔物が勝負を挑むことが無い訳では無い。
ゼルートが良い例である通り、魔物がランク通りの姿を持っているわけでは無い。
フォレストリザードも見た目は中々に厳ついが、それでも普段から暴れる様な性格では無いので侮る魔物も存在する。
そしてその結果が今ゼルート達の目の前にある。
「そうかもしれないけど……なんか血気盛ん? な感じがする」
ラームの言葉が正しいと言わんばかりに、フォレストリザードはゼルート達を敵と認識して地面を強く踏みつけた。
「そうかもしれないなッ!!」
どのような攻撃が飛んでくるか事前に察知していた三人は地面から生えてきた木の槍を慌てずに躱す。
「別に戦意を見せたわけでも無いのにいきなり攻撃ってのは穏やかじゃ無いな」
「そうかしら? 誰に襲われるか分からない環境にいる訳なあのだし、攻撃して来なくても襲ってくるものじゃないの?」
「……それもそうだな。それか、俺達に自分を殺す力があると判断しての攻撃か?」
「それもありえるでしょうね。それで、私達としてはターゲットが目の前にいるっていうチャンスだと思うのだけれど」
探索を開始してまだ大して時間が経っていないのにも関わらず、今回の捕獲依頼のターゲットを見つけたゼルート達は確かに幸運だ。
「もしかしてラームがこの前遊び人達から奪っていた運が働いてくれたのかもしれないな」
「そうなの? だったらラッキーだね」
ゼルート達が全く焦ることなく会話している間にフォレストリザードの攻撃は絶え間なく続いていた。
木の槍や玉による攻撃や木々を伸ばしての拘束に、自身の五体を使った物理的攻撃。
だが、それらを使用してもゼルート達には今のところ掠り傷一つ負わせることが出来ていなかった。
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