少年期[450]そこそこ程度なら話にならない
「ふぁ~~~……ちょっとカッコ付け過ぎたかな。まぁ、別にむやみやたらに人を殺したい訳じゃないからな」
一団に対してゼルートは装備等を奪ったりせず、逆にポーション以外に金貨を数枚ほど渡してからダンジョンの位置を頭に入れて街までのルートを紙に書きながら街へと戻った。
そして予めゼルートが何故こんな時間に街を出たのかをギルド職員から聞かされた門番のおかげで、何事も無く、不法侵入することなく街へと戻る。
そしてその日はギルドへ行かず、そのまま宿に戻ってベッドに倒れこむ。
「そういえば明日は昼から宴会だって言ってたな。なら十時ぐらいにギルドへ向かうとするか。それと・・・・・・ちょっとギルドマスターに頼み事をしないとな」
標的を殺すにしても、なるべく人目が無い場所の方が良い。
相手がただの馬鹿貴族ならばゼルートにとって殺す事など造作も無い。
「はぁーーーー、もう今日は直ぐに寝よ」
いつもなら自作の風呂にのんびりと入るのだが、もう動くのがめんどくさいと感じたゼルートは寝間着に着替えてベットにダイブ。
そして秒で深い眠りについた。
「ゼルートってやっぱり頼み事は断れないタイプか?」
「別にそういう訳じゃない。今回はもしかしてという俺の予想がドンピシャで当たっていたからな。だからいっそ今回の事件を起こしたある意味黒幕をぶっ潰してやろうと思ったんだ」
もしこの機会を逃せば、また黒幕は他の街で何かをやらかす可能性がある。
それが自分の友人や家族に及んでからあの時殺しておけば良かった後悔しても遅い。
なのでこの街に滞在している間に絶対に殺すと決めた。
「それにちゃんと報酬を貰ってるしな。やることはきっちりとやり遂げる。だから、報告の後にちょっとギルドマスターに頼み事がある」
「それって私達が聞いても良い内容なの?」
「問題無い。知ったからどうこうなる内容では無い。まっ、他の冒険者達には絶対に口外してはならない内容だけどな」
((それって絶対聞いたら駄目な内容じゃん))
アレナとルウナの心の声は見事にハモった。
同業者に教えてはならない内容。
それは個々によって違う回答が出るかもしれないが、ゼルートの頼みごとに関してはマジで本気で他者に漏らしてはならない機密だと二人は瞬時に理解した。
「ゼルート……あなた本当にいつか女性関係以外で背中からグサッと刺されそうね」
「だな。特に今回の件については……標的以外の恨みを買っている可能性有だ」
「なんでそんな堂々とした表情で言えるのよ、全く」
今回の件を引き起こした貴族がどのような貴族と繋がっているかはゼルートにも分からない。
(馬鹿貴族と絡んでいる貴族が俺の名を聞いてビビッてくれりゃ良いんだが、プライドの高い貴族ならばそんなことお構いなしに俺に暗殺者でも送ってきそうだな)
そこそこ腕の立つ暗殺者が来たとしても負けるつもりは一切無いゼルートは、特に後ろから刺されるかもしれない状況にビビることは無い。
冒険者ギルドへとたどり着いたゼルートは受付嬢に事情を話し、二階の部屋へと向かう。
「ギルドマスター、ゼルート様達が報告に来ました」
「あぁ、通してくれ」
ギルドマスターの仕事部屋に入ったゼルートは机に置かれている書類の量に目を見開いて驚く。
「お、お疲れ様です」
「あぁ、とりあえずそこに座ってくれ」
書類作業を一旦終えたギルドマスターもソファーに腰を下ろす。
早速本題に入るためにとある貴族の名前が書かれてある紙を渡した。
「……はぁーーーー。やっぱりか。何となく予想は出来ていたが、面倒な相手だ」
「面倒な相手だとしても、殺してしまえば問題ないでしょう」
物騒なことを言いながらゼルートはもう一枚の紙を渡す。
「重ね重ね本当に助かる。後で追加報酬を渡す。何か希望はあるか?」
「そこまで面倒な事じゃないんでタダで良いですよ」
街からダンジョンまでのルートを紙に書くには大した作業では無い。
「ただ、一つ頼みたい事があるんですよ。こいつを殺す為に」
「君の言う通り、そうした方が事が上手く進む。本人の殺す事に君には集中して欲しい。出来る限りのことはこちらも手伝わせて貰おう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます