少年期[422]一人では無理だった
(普段の私なら使えない技だな)
ルウナが得意としている魔力は火であり、引火しやすい森の中では使うのを少し躊躇ってしまう。
それに今は自身の攻撃にラームの魔力を上乗せされるので、余計に規模が大きくなってしまうので使ってはならないという気持ちが大きい。
そこでルウナは今まで肉弾戦の中で使ってきた風と水の魔力を使う事にした。
使い慣れていな魔力だが、その辺りはラームが何とかしてくれるので問題無い。
「風水竜撃、六連打」
右三腕には風のドラゴンが、左三腕には水のドラゴンが纏われており、恐怖を感じさせる咢が開いていた。
アシュラコングはドラゴンの咢を見た瞬間、即座にイメージ出来てしまった。
自分の体が喰われてしまう瞬間を。
生まれてから二度目のゾッとした瞬間にアシュラコングは攻撃態勢から無理矢理防御態勢へと変えようとした、が。
「遅い」
完全にアシュラコングのスピードを上回っているルウナとラームのスピードに反応する事は出来ず、急所をガードする前に風と水のドラゴンの咢が腕や足を、心臓を喰い千切った。
「俺の、負け、かぁ・・・・・・そうだな、当たり前、か」
「良く解ってるじゃないか。正しい選択を取れなかったお前の負けだ。だが、私一人では勝てなかった。それも事実だ」
「は、はっは! ごはっ、・・・・・・はッ、褒め言葉として、受け取っておこ、ぅ」
完全に意識が途切れ、三途の川を渡ったアシュラコングは膝から崩れ落ちた。
『ノーダメージで倒せて良かったね』
「あぁ、そうだな。私一人では倒せない魔物だった」
『僕も一人で戦うには荷が重い相手だったよ。でも、パワー馬鹿で助かってね。思ったよりも時間を掛けずに倒せたし』
「・・・・・・そうだな。時間を掛けず、無傷で倒せたのは良かった」
ラームはそこまでアシュラコングとの戦いに焦りは無かったが、余裕な言葉を出しながらもルウナはかなりの緊張感を抱いていた。
(あの筋肉ゴリラの一撃一撃は今の私には出せない威力であり、耐えきれない一撃だ。体の構造上の差もあるが、それは言い訳にならないからな)
六本の腕を操る相手に二本の腕しか持たない自分では分が悪い。
そう思うしかない。
しかしルウナはそういった相手にどう対応すれば良いのかを考えていた。
『ルウナ、また魔物がやって来たけど、この姿のまま倒す?』
「そうだな。また筋肉ゴリラのような魔物があらわれるかもしれない。即座に対応できるようにこの姿のまま動こう」
まだ戦いの最中なので、ルウナは一旦考えるのを止めて目の前の敵に集中した。
「自ら殺されに来る馬鹿はまだまだ多いみたいだな」
自分達に襲い掛かってくる魔物に嘆息しながらルウナは集中しなおす。
そしてラームを装備として纏った事で戦いが終わるまで殆どダメージを受ける事無く二人は戦い続けた。
SIDE アレナ
「本当に多いわね」
「それはいつもの事だ!!! 魔物の大群が現れれば、大抵はこんな感じで連戦連続だ!!!!」
アレナの口からこぼれた一言にグレイスは笑いながらモンスターを吹き飛ばして答えた。
(大斧を自由自在に操る事で接近戦も遠距離攻撃も全く問題無い。Aランクの中でも攻撃力に関しては別格ね。流石は最前線を走るAランク冒険者ね)
アレナも奴隷になる前はAランク冒険者の立場まで上り詰めたが、グレイス程の経験と力量は無かった。
「あなた、張り切るのは全く構わないけれど、スタミナには気を付けてくださいね」
「おう!! 分かってるよ!!!!」
夫の事を心配しながらもコーネリアは詠唱を破棄して初・中級魔法を使用して魔力を節約しながら魔物の急所を確実に破壊する。
『空の魔物達はあまり大した事ありませんね』
アレナ達に降りかかる上空からの攻撃を阻止するためにラルは直接攻撃、雷による遠距離攻撃を使い分けて殲滅する。
三人と一体に渡り合える魔物は今のところゼロ。
寧ろ小さな切傷する付けられていない。
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