少年期[426]長い長い乱戦
何やかんやでゼルート達は目的の街に五日ほどで着いた。
本来ならば街中が活気にあふれているのが普通なのだが、人々は出歩いているものの表情には不安しか浮かんでいない。
「ここまで街の人達が沈んだ表情をしているのは久しぶりに見たな」
「過去に同じような状況に遭遇した事があるんですか?」
「あぁ。偶々今回の様な事が起こった街に滞在していてな。ガレンやレミア達と一緒に参加して一日中戦ったな」
「一日で済んで良かった思うべきか、一日中戦う羽目になったのを呪うべきか悩ましい戦いでしたね」
コーネリアは過去の戦いを思い出し、悩ましい表情になる。
過去にゼルートの両親と一緒にパーティーを組んでいた時は三日や五日にも及ぶ戦いに参加した事があったが、それらの戦いに関しては間間で休息を取り、時間は短いが睡眠もとれていた。
しかし二人が思い出した戦いはほぼぶっ続けで戦った。
「あの時はジェネラルヴァンパイアがボスだったからな。戦いが完全に夜中まで突入したんだ。他のモンスターなら周囲が見え辛い夜中でも問題無いんだが、ヴァンパイア系に関しては話が別だ」
「完全にでは無いけれど、ジェネラルヴァンパイアが他のモンスターを動かしていたんですよ。モンスターを操るモンスターって中々に厄介だと思いませんか」
コーネリアからの質問にゼルートは数秒だけ悩み、答える。
「はい、かなり厄介かと思います。ヴァンパイアって事はそれなりに年齢がいってるんですよね。そのジェネラルヴァンパイアがどんな人生を歩んで来たのか解らないですけど、頭が回るってことだけは何となく解ります」
「そういう事だ。長い間生きてるだけあってモンスターの特性や得意なことを良く知っている。下手な軍師よりよっぽど指示が上手かった筈だ。あれは俺が今まで戦って来た中でベストファイブには入る戦い・・・・・・というかほぼモンスターと冒険者や騎士の戦争に近かったな」
「一日限りの戦いだったけど、確かにその通りでしたね」
一日続く戦い。
それだけで自分が体験したオークとゴブリンの群れとの戦いと比べて比較にならない程の激戦だったと解った。
「今回は・・・・・・どうなると思いますか」
「ここに来るまでに本当にチラッとだけ見たが、数は相当なもんだ。ただ、今回はゼルート達がいるから、そう時間は掛からないだろうな」
「ははは、それはどうでしょうね。ただ・・・・・・皆殺気満々なので、案外そうなるかもしれませんね」
チラッと仲間の方を見ると、約一名を除いて全員早く戦いたいといった表情をしている。
(私は別に殺気満々って訳じゃ無いんですけどね。でもまぁ、参加するにはキッチリと役目は果たすけど)
アレナは前衛タイプであり、力もあるが腕力押しの前衛タイプでは無く技巧派に偏っている。
なので乱戦の中で体力と魔力配分のペースを上手い具合に分けるのには自信がある。
冒険者ギルドに辿り着いた一行は早速中へ入った。
(マジでピリピリしてんな。オークとゴブリンの群れの時とは緊張の度合いがまるで違う。本気で生き残るか死ぬかの瀬戸際って感じだな)
一行の代表としてグレイスが受付嬢に事情を話す。
すると今日の午後六時にもう一度冒険者ギルドに集まって欲しいと伝えられる。
「ってな訳だから、六時にもう一度ど集まってくれ。その間までは各自自由行動だ。解ってるとは思うが・・・・・・問題事は起こすなよ」
グレイスから発せられた圧にドーウルスからやって来た冒険者達はゼルート達を除いて何度も頭を縦に振る。
(問題を起こしてはならない。って事ぐらいは分かってるけど、宿の外で散策していたら万が一って可能性は無いと思いたいがあるかもしれない。だから時間まで宿でのんびりと休憩しておくか)
グレイスとコーネリアには迷惑を掛けたくないと思っているゼルートは大人しく宿に引きこもる事にした。
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