少年期[413]周囲に迷惑は掛けず

「一つ気になったのですが、冒険者学校の生徒達とは衝突しなかったんですか?」


「鋭いですねルミイル様。お考えの通り見事に衝突しました。おそらく自分の年齢と容姿が原因です」


「確かにゼルートはまだ私と同じで十二歳で、生徒達は十五歳ですから冒険者として先輩であっても強くは見えないかもしれませんね」


痛いところをグサッと刺しに来たルミイルだが、ゼルートはその通りなので気にする事は無かった。


(もしかして厳つい装備でも身に付けていたらもう少しは初対面での態度は変わっていたかもしれないな。でもそんな状態で勝ったとしても、装備品の性能の差で負けたとか言い出しそうだからな)


ゼルートは速く身長が伸びて欲しいと願うばかり。


「衝突したのなら、どうやって対処したのですか? やはり一対一で順番に叩きのめしたとか」


「概ね合っています。最初に自分が講師という事に納得がいかない者をはいるかと尋ね、納得がいかない者達と順番に戦って倒していきました。ただ別に叩きのめしてはいませんからね。後日から魔物と戦う予定だったんですから」


「ゼルートは意外と優しいのですね。ゼルートの戦いを生で見たのはあの時だけですから、戦いとなれば絶対に容赦無く戦うのかと思っていました」


「は、ははははは。確かにあの試合だけを見ていなければそう思ってしまうのも無理はありませんね」


(いや、でも良く思い返せば俺って戦った相手に関して物理的か精神的にボコボコにしてるよな。学生たちに関しても積み重ねた自身とプライドをボロボロにした訳だし・・・・・・結局ルミイル様の言う通り、容赦無く叩き潰してたか)


物理的のボコボコにする事は少なくても、ゼルートの過去の対人戦では大半の相手を精神的にボコボコにしていた。


それは一緒に行動しているアレナとルウナは良く解っているので、いつもとは違うトーンや口調で話しながら半分嘘を付いているゼルートを見て表情にこそ出さなかったが、心の中ではそんな訳無いだろうと笑っていた。


「ゼルートにとっては大半の者が未熟者に思えるかもしれませんが、あまり虐めてはいけませんよ」


「自分と対峙する者が全員未熟者だとは思っていませんよ。ただ、対峙する相手によっては虐める可能性はありますけどね」


「そうですか。なら、仕方がありませんね。元を辿ればゼルートの逆鱗に触れて怒らせてしまったことが原因となりますからね。ただし、あまり周囲に被害が及ぶような攻撃をしては駄目ですよ」


「それは勿論心得ていますよ。私情による戦いで周囲の人達に迷惑を掛けたくありませんから」


この言葉は本音であるため、逆に私情の戦いで自身に被害が及ぶようなら全く関係のない自分が両者をぶっ飛ばそうと考えている。


「ダンジョンでは予想外の事態が良く起こると聞きますが、それは本当なのでしょうか?」


「えっと・・・・・・まぁ、自分が初めてダンジョンに潜った時は少々予想外な事が起きましたね」


モンスターの大群に遭遇したのは予想外の事態としてはよくある件だが、臨時とはいえ同じパーティーメンバーとして同行している者に後ろから攻撃されるという事態はまず無い。


だがゼルートにはそんなイレギュラー過ぎる事件が起こった。


(これは墓場まで持っていく話だから絶対に話さないけど)


もしどこかでうっかりと漏らしてしまえば、セフィーレだけでなく公爵家にまで迷惑を掛けてしまう。

元を辿ればゼルートが悪い訳では無いのだが、面倒事になるのは必至。


「もしかして魔物の大群と遭遇してしまったのですか? でも、それぐらいなら問題無く倒してしまいますよね」


「それはダンジョンに生息する魔物の強さによりますが、その時は特に苦も無く倒せました」


正確には魔物の大群と遭遇したのではなく引き受けたのだが、そこは割愛して話し始めた。

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