少年期[414]一パーティーが持つ戦力では無い
ルミイルとゼルート達のお茶会は結局二時間程続いたところでお開きとなった。
「ゼルート。もし、私は依頼者になってあなたに指名依頼をすれば受けてくれるかしら」
「俺は冒険者です。ちゃんと報酬を用意してくれるならきっちりと依頼を達成しますよ。ヤバい内容は勘弁ですが」
「ふふふ、それを聞いて安心しました。それではまた王都に来た時にゼルートの冒険譚を聞かせてください」
「その時までにページが増えていたら、ですけどね」
当分王都に来る予定は無いので冒険譚は増えるかもしれないが、そこまで話題のあるイベントが起こるかはゼルートも予想出来ない。
何も問題が起こる事無くルミイルとのお茶会は終わり、ゼルートは戦闘の腕が立つメイドさんに玄関前まで送られる。
そして王城から出る前にメイドがゼルートに声を掛ける。
「ゼルート様、本日は来て頂き誠に有難うございました」
「いえいえ、こちらこそ美味しい紅茶とお菓子をご馳走になりました」
「そう言って頂けると光栄です。今日のルミイル様はとても明るい笑顔で話していました。先程もルミイル様が仰っていましたが、王都に来た際には是非ゼルート様の冒険譚をルミイル様に聞かせてあげてください」
この一言でゼルート達は王族に生まれた者がどれほどのプレッシャーを背負いながら生きているのか、その一部を感じ取った。
(俺の冒険譚を聞いただけでてとも明るい笑顔、か・・・・・・第一王女じゃなくても色々と大変なんだろうな。俺の冒険譚を聞いただけで笑顔になってくれるならいくらでも話そう)
いくらでも話してあげようと決めるゼルートだが、面倒事が匂うイベントだけは巻き込まれたくない精神は変わらない。
「ゼルート、本当に指名依頼を受けるの?」
屋敷に戻るのは早いと思い、街を散策しているとアレナが心配そうな表情でゼルートに尋ねる。
「なんだ? アレナは依頼を受けるのは反対か?」
ゼルートとしてはなるべくルミイルからの依頼は受けてあげたいと思っている。
勿論しっかりと報酬は頂く。
「いえ、別に指名を依頼を受けることに反対は無いのよ。でも、ゼルートは基本的に目立ちたくないんでしょ。なら王族からの依頼を受けるのは良くないんじゃないかって思って」
「あぁーーーー・・・・・・なるほどね。やっぱり王族から依頼を受けてると話題になるのか?」
「極秘に受けた依頼なら目立たないかもしれないけど、その依頼もギルドを通して受けた依頼ならギルドから色々と面倒事を頼まれる可能性が増えるのは確実だと思う」
「・・・・・・それって断ったらギルドから嫌がらせが来るパターン?」
今後の活動に支障が出るのは勘弁なので、ゼルートとしてはあまりギルドと対立したくない。
「どうでしょうね。ゼルート程戦力を持ってる冒険者にギルドが嫌がらせをするとは思えないけど、可能性がゼロとは断言できない」
「戦力ってちょっと大げさな言い方だな。アレナとルウナにゲイル達がいれば確かに戦力って言えるな」
「それだけがゼルートの保有する戦力はそれだけじゃないだろ」
ルウナは一度だけ見た事があるゼルートが造った錬金獣を良く覚えている。
性能を聞いただけでも驚愕ものなのだが、その数にルウナは驚かされた。
「あぁ、あれか。あいつらはあんまり使うつもりは無いんだよな。俺が造ったってバレるとそれこそ面倒だし」
「確かにそうね。色々な組織から勧誘が来る筈よ」
「絶対にお断りだな。っと、姉さんだ」
友達と話しながら歩いているレイリアを見つけたゼルートは声を掛けようと思ったが、大事な事を思い出した。
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