少年期[381]目的地まで遠く、不確定

「それでは昼の休み時間にクライレットとレイリアにここに呼ぼう。それまで少し時間があるがどうする? 学校内を見学したいというなら構わないが、君達が興味を引く場所や授業は無いしな」


「それならここで適当に時間を潰しておきますよ。さっきリーザルさんに生徒と問題が起これば構わず自分の名前を出して良いとと言ってくれましたが、問題を起こさない事に越したとこは無いので」


「そうか。気遣い感謝する。何かあればそこの呼び鈴を鳴らしてくれ。教師の誰かが直ぐに駆けつける。それでは二人が来るまでゆっくりと過ごしてくれ」


そう言ってリーザル部屋を出ていた。

リーザルが部屋を出て行った後、三人の中でリーザルの評価についての話し合いが行われる。


「私としては結構真面な人だと思うのだけど。ゼルートとお兄さんとお姉さんの影響なのか、それともあの人自身の考えの両方なのかもしれないけど、この学園内での出来事は面倒事に発展しないんじゃないかしら?」


「俺も同意見。しっかりとした人格者って感じだった。後、無茶苦茶強い気がする。バレたら面倒だから鑑定眼を使わなかったけど、魔法の腕は勿論高いだろうし元が人間だから体格も良い。多分接近戦の腕もかなり高いと思う」


「先祖返りでエルフになったという事はおそらく精霊魔法も使えるのだろう。それらを考えれば相当な実力を持っているのは確実だ」


リーザルは人格者であり、実力は相当高い。それが三人の共通認識だった。


(正直、魔装を使えば勝てるかもしれないけど、素の状態ではちょっと勝てるか・・・・・・・無理そうな気がする)


エルフとしてはまだ六十と若い年齢に当たるが、それでも感覚としては人族の意識が強いので強さを求める速度がエルフと比べて速い。

なので同じ六十歳のエルフと比べても、リーザルの方が圧倒的に強い。


「上には上がいるという事だな。ふむ、ちょっと体を動かしたくなってきた」


「ちょっと我慢してくれ。ついさっきこの部屋で待ってるって言ってしまったんだ」


「むぅーーー・・・・・ならしょうがない。決闘までの期間に戦いまくろう!!!」


「別にそれは構わないけれど、もしかしてダンジョンに入るつもり? それとも王都の外に出て戦うの? 外ならかなり遠くへ行かないと魔物がいないわよ」


王都の外に出た場合、ルウナの足なら魔物が生息する場所までそこまで時間を掛けずにたどり着けるが、それでもルウナが満足する相手がいるかどうかは分らない。

ダンジョンに関しては王都内に一つ。そして王都から離れたところにあるが、王都の冒険者ギルドが管理しているダンジョンの二つがある。


王都内にあるダンジョンはある程度難易度が高いものではあるが、ルウナが満足する階層に辿り着くまでに全力疾走したとしても時間が掛かる。


王都の外にあるダンジョンは王都内に管理されているダンジョンと比べて更に難易度が高いが、王都からそこそこのダンジョンが存在する。

そしてルウナの場合、ダンジョンに生息する魔物との戦いに夢中になる可能性がある。


それほどまでにある程度浅い階層でも生きの良い魔物が多く存在する。


「まっ、溜まった闘争心を消化するなら俺らが相手になるよ」


「いつもやっている事だけど、それが一番良いんじゃないかしら?」


「・・・・・・・それもそうだな。よし、それなら時間までリバーシで時間を潰そう」


昨夜、アレナに三縦されたルウナはまずはリベンジしたかった。

それからクライレットとレイリアが部屋に来るまでゼルート達は延々とリバーシで勝負し続けた。


結果はルウナが一番勝率が低かったが、それでもアレナにリベンジする事は出来たので満足気な表情になる。

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