少年期[382]兄も悪ノリ?

昼休憩の時間になり、客室にクライレットとレイリアがノックをして入って来た。


「クライレット兄さん、レイリア姉さん久しぶっ!!??」


「待っていたわゼルート!!!! 冒険者になったからか随分と逞しくなったじゃない」


「むむむーーーー!!! むむむむ、むむむむーーーーー!!!!」


ゼルートはまだ発展途上ながら確かな大きさを持つレイリアの胸に押しつぶされそうになったので兄に助けを求めた。


「レイリア。ゼルートとの再会を喜ぶのは良いが、そろそろ離してやらないとゼルートが窒息死するぞ」


ゼルートの腕力ならばレイリアのハグから抜け出す事は出来るが、それが何故が出来ないのが思春期の男の性。


「あらごめんねゼルート。つい嬉しすぎて。あっ、お二人がゼルートの仲間ですよね。ゼルートの姉のレイリア・ゲインルートです。今回は態々私の願いの為に王都まで来ていただいて有難うございます」


レイリアの少々お転婆な様子から移転して貴族の息女の姿を見せられた事で、アレナとルウナは呆気に取られて苦笑いになっている。


「妹が少々暴走して済みませんでした。ゼルートの兄のクライレット・ゲインルートです。王都まで来ていただいて有難うございます」


「ゼルートの魔法のお陰でそこまで苦労はしてないわ。ゼルートの仲間のアレナよ。ゼルートにはいつも世話になっているわ」


「アレナに同意だな。あれを魔法と呼んで良いかは謎だがな。ゼルートの仲間のルウナだ。ゼルートにはいつも楽しませて貰っている」


クライレットの自己紹介を聞いて二人は自分達もと思い、直ぐに軽い自己紹介を始めた。

そしてジーーーーっとアレナとルウナを見つめるレイリア。


自分達に何か変なところがあるのかと思い、二人は自分の服装や髪を見る。


「うん!! ゼルート、お姉ちゃんはどっちがゼルートのお嫁さんになっても賛成よ!!!!」


「ぶっ!!!??? ご、ごめん。てか、い、いきなり何言うんだよレイリア姉さん!!!」


良い笑顔でグーサインを自身の方へ向けてくる姉に、いきなりの姉としては合格発言にゼルートは思いっきり吹いてしまった。

自分でも汚いとは思い、もし今飲み物を口に入れたら大惨事だったと思うが、それでも耐えきれる自信が無いゼルートは吹いた事を謝りながらも姉に苦言を申す。


「二人は色々あってパーティーを組んでいる仲間だっての。姉さんが考えている様な相手じゃないから」


「あらそうなの? てっきりこんな美女、美少女と一緒にパーティーを組んでるのだからそういう関係だと思ったのだけど。ねぇ、クライレット兄さん」


「僕にそういう話を振らないでくれないか。まぁ・・・・・・仮にお前がアレナさんとルウナさんをゼルートが嫁に貰うと言って僕は反対しないぞ」


兄はこういった事に悪ノリはしない・・・・・・普段の状態ならば信じられるのだが、今の状況ではもしかしたらと疑いの気持ちが浮かんできた。


「だからそういうんじゃないって。あぁーーーもうっ、一旦この話は止め。今日は姉さんと兄さんと決闘の事について話そうと思ってきたんだ」


「そうだったね。ゼルートに会えて嬉し過ぎて忘れてたわね」


「安心しろゼルート。僕はしっかりと覚えていたからな」


「有難うクライレット兄さん。それを聞けて少し安心した」


ようやく話が進み始めたところでゼルート達は昼飯の時間という事もあり、食堂で昼食をとることになった。

面倒なのと関わりたくないゼルートはその案を却下したいところだったが、クライレットとレイリアはこの時間に昼飯も済まさなければいけないので文句を言わずに了承した。

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