少年期[331]肉だ肉だ肉だ!
日が暮れるまで訓練場で体術の訓練を続け、デックとソンは二人共地面に腰を下ろしていた。
「あぁーーーーーー、もう無理。まっっっっ、じで疲れた!! 討伐依頼を受けた時より疲れたかもしれねぇ」
「同意だ。覚える事が多かったという原因が主かもしれないが、取りあえず疲れた」
ゼルートが一通り拳や足を使った技を教え、それを繰り返し反復してから摸擬戦を延々と続ける。
まだ長時間反復訓練をした訳では無いので形がしっかりとしているかといえばそうではないが、それでも摸擬戦を延々と続けたことで二人はどの状況やタイミングで技を繰り出せばいいのかが感覚的に解るようになっていた。
「俺も、今まで延々と体を動かし続けてたから流石に疲れた。最近は今日みたいに動かし続ける事は無かったからな」
朝はゆっくり寝て、日課の訓練を終えた後にギルドに向かって依頼を受ける時もあるが、特に街から出ずのんびりとする日もあるため。
なのでゼルートは明日はもしかすると筋肉痛になる可能性があるかもしれないと思っていた。
「てか、腹減ったから晩飯にしようぜ。時間も丁度良いしよ」
「そうだな。時間的には・・・・・・これから混み始める時間か。早めにギルドを出て店を探した方が良さそうだな。ゼルートも一緒に食べるだろう」
「ああ、アレナ達はガールズトークらしいからな。あっ、その前に宿に少しだけ寄って良いか?」
「おう! それぐらい構わないぞ」
日中、ギルドの職員からアレナ達からの伝言を受け取り、その日は別々に夕食を食べる事になっていた。
なのでゼルートはデックとソンの三人で夕食を食べる事が出来る。
しかし宿の食事だけでは満足できない事が多い三体の従魔の為にゼルートは一旦宿へ戻る事にした。
そしてゲイル達三体と合流したゼルートは自由に使える広場へと向かっている。
「ゼルート、飯を奢ってくれるのは嬉しいけど、なんで態々自分達で作るんだ?」
「だって・・・・・・店で食べるってなると値段が絶対に高いからな」
ゼルートの答えにデックとソンは何を言っているのか解らず首を傾げる。
ラルとラームもいまいち解っておらず首を傾げているが、ゲイルだけは何となく解っていた。
広場へやって来たゼルートはアイテムバッグの中から調理器具を取り出し、オークやファットボア等の肉を取り出す。
「うおっ、本当に時間が経ってないんだな。無茶苦茶欲しいが、難易度がクソ高いダンジョンに潜ってもそう簡単に手に入らないんだろうな」
「そうだな。そんな難易度の高いダンジョンに入ればお宝を手に入れる前に死んでしまいそうだ。一応聞くが、ゼルートはそれをどこで手に入れたんだ?」
「ドラゴンが財宝を集めるって話は聞いた事があるだろ。ラルの母親が無茶苦茶宝を貯めこんでいてな。その中から貰ったんだよ」
少し前までの嘘とは内容が変わっているが、ラルの母親であるラガールが多くの財宝を持っている事は事実である。
「なるほど。上位の竜種ともなれば宝を貯めこんでいるのは事実だったわけか」
「まっ、それが分ったところで今の実力で竜種に挑もうとは思わないけどな。取りあえず今日はあれか、肉パーティーってところか?」
「そういう感じです。種類はあるのであまり一つの肉を食べ過ぎないでくださいよ」
それから全員で肉を焼いては食って飲んでを繰り返していく。
調味料に塩や胡椒は勿論、想像で生み出した肉に合うタレも使った事で全員手を止める事無く食べ続ける。
そして全員の腹が八分目まで来たところで、ゼルートは取っておきの肉をアイテムバッグの中から取り出す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます