少年期[330]倒すだけじゃないからこその反則技
「デックの言う通りだな。地道に上げていく他無い」
「・・・・・・俺の予想なんですけど、体術のスキルレベルを速く上げる方法ってスキルを得る前からある程度の攻撃方法、体の動かし方を解っている事だと思うんですよ」
ゼルートの予想に興味を持ったデックとソンは話を続ける様に促す。
「勿論個人の能力にも関わって来ると思うんですけど、それでも五体を使った技・・・・・・格闘技を知ってると知っていないとじゃ体術スキルに関しての感覚理解速度が違う筈です。個人的な経験からの感想ですけど」
「いや、中々面白い見解だと俺は思う。それに既に実証済みなのだろう? それにしても私達はその格闘技? というものを知らないからな」
「ソンに同意だ。なぁゼルート、出世払いで良かったらそういうの教えてくれないか?」
「構わないぞ。というか、別に隠す技術でもないから出世払いとか無くて良いですよ」
体術スキルを磨いている者ならば、ある程度の攻撃方法は技名を決めていなくても固定されたものがある。
「マジでか!? それは有難いが・・・・・・いや、それじゃあ冒険者として先輩である俺のプライドが許さん。てことで今度飯奢るって事で」
「なら俺もそうさせて貰おう」
格闘技の訓練が始まってからゼルートは初めにストレート、ジャブ、ボディ、フック、アッパーなどボクシングで使われるパンチ技を教える。
そして前世の時代では反則技として指定されていた技も一応教える。
反則技以外はお互いに摸擬戦で使っていいとゼルートは二人に伝えたが、反則技だけは実戦以外では基本使っては駄目だと強く言った。
たった一撃、されど一撃。
どんな格闘技の中にも一撃必殺は存在する。ボクシングの技で言えば相手の顎を砕くアッパーに体をくの字に曲げで悶絶させるボディ、そして相手の顎を正確に射貫いて脳を揺らす高速のジャブ。
しかし反則技は相手を倒す、それだけでは終わらない技。
なのでゼルートとしては相手が殺しても良い様な屑以外には使って欲しいと思わなかった。
その後は空手などで使われる蹴り技などを教え、フットワークや間合いの取り方等のゼルートでもある程度正確に教える事が出来る基礎を教えた。
「いやぁ・・・・・・ちょっと頭がパンクしそう。ただ、ゼルートから教えて貰った技をしっかりと実戦で使える様になればモンスターにはちょっと解らないが、対人戦では武器を失っても優位に戦えそうだ」
「遠当てや斬脚と合わせれば不意を突けて短時間で戦いを終わらせる事も出来るだろう。本当に有難うゼルート、これらを実戦で扱えるようになるまで毎日反復訓練をすればいいんだな」
「そうですね。あとはお互いに時間が空いている時に大怪我をしない程度に摸擬戦をするのもありです」
やろうと思えば創造スキルを使ってミットやヘッドギアを創る事が出来るのだが、それをやると後々面倒な事になりそうなので止めた。
(ただ、やっぱりあった方が絶対練習になるんだよな。ミットの中は・・・・・・羊系の魔物の毛を詰めればなんとかなるか? いや、皮膚がそこまで固くない魔物の皮を何重にもすれば良い吸収剤になるか?)
ゼルートも二人に触発され、その場で軽いシャドーを行う。
それを見たデックとソンは元々レベル差による速さがあるため自分達より次元が違うと感じるが、それよりも錬度の高さに目が釘付けになっていた。
「・・・・・・ははっ、本当に冒険者としては俺らの方が先輩の筈なのに、戦いに関しちゃゼルートの方が大先輩みたいだな」
「ああ、才能だけでなく確かな努力が積み重なって出来る動きだと感じる。ただあれは俺達でも目指す事が出来る技術の筈だ」
握りしめるソンの拳が小さく震えていた。
「おいおい、久しぶりに熱くなってるみたいじゃん」
「デックの方こそ、良い意味で口端が上がってるじゃないか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます