少年期[320]俺がやりたいと思ったから

「・・・・・・・・・・・・ってな感じだ。だから盗賊団が消えたって立証するのは難しいから、商人たちが盗賊団に襲われなくなった事が証明って事になる」


「いや、まてまてまて。その話はマジのマジか!?」


「おう。マジのマジだ。なんなら証拠見せてやるよ」


周囲に人がいないのを確認したゼルートはアイテムバッグの中からサーロングタイガーの牙を取り出した。

それを受け取ったゼンは恐る恐る受け取る。

隣にいるシーナは真剣な表情でサーロングタイガーの牙を見つめる。


「明らかにサーベルタイガーの牙と比べて大きさが違う。サーベルタイガーの異常種や亜種・・・・・・ならもっと違いがある筈ね」


「てことは、この牙は本当にサーロングタイガーの牙だって訳か」


両手を震わせながらゆっくりとゼンはゼルートに牙を返した。


「俺も普通に驚いたよ。まぁ、サーベルタイガーからサーロングタイガーに進化したばかりだから俺の仲間一人でも余裕だったみたいだけど」


「お前さん達は本当に実力が桁外れみたいだな」


「それは否定しない。あっ! 後盗賊団の奴らは全員殺して火魔法で灰にしたから安心してくれ」


「そうか・・・・・・なにからなにまで押し付けちまったみたいだな」


ゼンはゼルート達ならサーベルタイガーをテイムしている盗賊団に勝てるの可能性があるかもしれないとは思っていた。

しかし百パーセント勝つとは思っておらず、そのサーベルタイガーがサーロングタイガーに進化していたら勝率が下がってしまうと思うのが普通。


なので結果オーライな終わりとはいえ、この街の問題とは全く無関係なゼルート達に全てを押し付けるような形になってしまった事に対して少し申し訳なさを感じている。

それはシーナも同じく、本来ならば喜ぶ結果なのだが表情は笑顔とは言えない。


「何申し訳なさそうな顔をしてるんだ? 俺達がやるって決めたからサーロングタイガーをテイムしていた盗賊団をぶっ潰したんだ。それに俺としてはサーロングタイガーみたいな上等な魔物の素材と魔石が手に入ったんで報酬としては上々だ。それに本来目的は達成出来たんだしな」


「・・・・・・ふふ。そうか、それなら素直に感謝しておくぜ。けど流石に何も礼をしないって訳にはいかない。だから今日の夕食ぐらいは奢らせてくれないか?」


断る理由が無いゼルートはその提案を受け、アレナ達と合流した後は適当に時間を潰した。



シーナとゼンに夕食を奢って貰ったゼルート達は翌日に目を覚ますと直ぐにドーウルスへ向かって出発した。


「・・・・・・・・・・・・相変わらず移動に関しては反則よねこの土魔法」


「別にそんな大層な物じゃないぞ。動かすのには普通に魔力を使うんだ。並みの魔法使いが俺と同じことをやってたらそうだな・・・・・・持って三十分が限界じゃないか? それにこれを自在に操るってなるとそこそこ連取しなきゃダメ出し、魔力操作のスキルがある程度ないと扱いは難しいと思うぞ」


ゼルートが作りだした簡易トラックはアレナ達を乗せながら時速三十キロ程で進んでいる。


「それに決して乗り心地が良い訳じゃない」


「確かにガタガタと揺れる事が多いけどそれでも、この魔法が使えるのと使えないのとじゃ移動速度は雲泥の差よ。まっ、それは今気にする必要は無いはね」


言葉を切ると、一呼吸おいてからアレナはゆっくりと口を開いた。


「何か面倒な事でも考えているの?」


「・・・・・・どうしてそう思うんだ?」


「あなたの奴隷としての勘と言ったところね」


それは全く理由にならないだろゼルートは心の中でツッコんだ。

嘘をついても意味がないと判断したゼルートは一つ息を吐いてから考えている事を話し始めた。


「街に戻ったらその奴隷の立場からアレナとルウナを解放しようかと思ってな」

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