少年期[319]俺達がする必要は無い

二頭のサーベルタイガーを瞬殺したゼルート達はその場で解体を始め、十分程で解体を終わらせた。


「探し始めてそう時間が掛からずに見つかったのは運が良いわね」


「そうだな。というか・・・・・・サーベルタイガーって群れるのか?」


ゼルートのイメージとして、獅子や虎系の魔物は子供がいる時以外は群れないイメージがあった。


「単純に雄と雌だったのではないですか? それか若しくは狩りに出かけていた兄弟とか。それならば納得がいくかと」


二つの例は一般的な考えではあったが、それ以外の例は思い付かずラルの考えしかないなとゼルートは頷く。


「というか、二人共瞬で終わらせたな」


「だって特に特別な力を持ってるって感じはしなかったし」


鑑定眼を使って所有スキルを除いた訳では無いが、それでもゼルートは二体のサーベルタイガーから特異性を一切感じなかった。

あいてがサーロングタイガーと同じくBランクの魔物であればどういった攻撃や技を繰り出すのかが気になり、少しの間戦い続けたかもしれない。


だが、現在は依頼を受けている最中であり、相手のランクはCと特別強い魔物でもないので時間を掛けずに終わらせたいというのがゼルートの本音。


アレナはそもそも相手がBランクの魔物であっても時間を掛けて戦うつもりは無かった。


「それで街に戻ったら盗賊団を対峙した事を報告するのですか?」


「・・・・・・いや、それは止めておく」


「目立ちたくないから?」


ゼルートがこういった事の報告を嫌がる理由を、アレナはそれ以外思い付かなかった。


「ああ、何と言うか・・・・・・ドーウルスでそういう事を伝えるより目立つ気がする」


「確かにそうなるかもしれないな。私達にとっては珍しい盗賊団を倒しただけだが、それでも街の奴らにとっては私達が思っているよりも重い連中だったのだからな」


サーベルタイガーが進化したサーロングタイガーをテイムしていた珍しい盗賊団を二手に分かれて倒した。

街にそういった問題があると知ったから盗賊団を探したというのもあるが、目的にサーベルタイガーを簡単に発見出来るかもしれないと思った部分が半分以上はある。


「でも盗賊団が潰れたって事実は伝えておいた方が良さそうだから、あの二人には伝えておこうと思う」


「話しかけて来たあの二人か。その二人に伝えるのは良いと思うが、それをどうやって証明するんだ?」


盗賊達の死体はアンデットにならないよう、疫病の原因にならない様に全てラームが燃やし尽くした。

一番商人や冒険者達にダメージを与えていたサーベルタイガーに関してはサーロングタイガーに進化している。

それに例えサーベルタイガーのままであっても、その盗賊団がテイムしていたサーベルタイガーだと証明するのは無理な話。


なのでゼルートは無理の証明しようとは考えていない。


「別に俺達が証明しなくても、時間が経てば自然とサーベルタイガーをテイムしていた盗賊団は消えたんだって証明されるじゃん」


「なるほどね。少し時間は掛かるけどそれでも私達が下手に証明するよりは良さそうね」


「それでは街に帰ったらあの二人を探し、一応盗賊団を倒した事を伝えてからドーウルスへ帰るといった流れでしょうか?」


「そうだな。ここの街に長いする理由は無いから二人に説明が終わって一泊したらさっさと帰ろう」


ドーウルスへ帰って何か予定がある訳では無いが、それでもゼルートは要件を終わらせてドーウルスへ戻りたいと思っていた。


街に戻るとゼルートとラル、ゲイルとルウナ、アレナとラームに分かれてシーナとゼンを探し始める。

そこまで大きくないとはいえ街なので短時間では見つからなかったが、冒険者が集まりそうな場所へ行っているとゼルートとラルが最初に見つけた。


念話でゲイルとラームに周囲の位置情報を送ったゼルートは二人の元へ向かった。

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