少年期[318]ビンゴ!!

ゲイルが倒した魔物はサーベルタイガーが進化したサーロングタイガー。

サーロングタイガーと盗賊団を倒した事で誰かが襲われる可能性が減った。それに関しては問題ない。


しかしゼルート達が受けていた討伐依頼はサーベルタイガーの討伐。

それを証明するにはサーベルタイガーの討伐証明部位が必要になる。

素材や価値だけで言えばサーロングタイガーの方が勿論上。


だが、サーロングタイガーの討伐証明部位をギルドに渡しても、残念な事に依頼達成にはならない。


(・・・・・・いや、良いんだよ。Bランクの魔物の素材が手に入ったのは良い事だ。それに盗賊団を倒した事であの街もいい方向に向く筈だ。それに元々この辺りの森でサーベルタイガーの目撃情報が多かったからここに来たんだ)


このまま探し続ければ数日の間には見つかるだろうと信じ、ゼルートはアレナ達にこのまま探索を続けると伝える。


「私は全然構わないわ。皆も特に文句ないでしょ」


「ええ。アレナさんの言う通り文句などありません。それにしてもサーベルタイガーだとランクはCですね。特に期待はしない方が良さそうですね」


「そうだなぁ・・・・・・ゲイルと戦ったサーロングタイガーの戦いを見てしまったから今は少し物足りなく感じるだろう」


相変わらず脳筋な考えのルウナとラル。

だがゼルートも同じことを考えており、個人的には手間が省けると考えていた。


(ネコ科だがから反射神経は速いだろうけど、本気を出せば一撃で終わる筈だ)


「ところでゼルート様。アジトでは何か面白い道具はありましたか?」


「いいや。特には無かった。盗賊達が持っていた武器の中で多少は品質が良い武器は合ったけど、本当に多少ってレベルだ」


「そうでしたか。それならば一番の結果は懐が暖まったということですね」


「そうだな。盗賊達って多分金を使う場面が無いのにも関わらず大金を持っている事が多いからな」


ゼルート達が盗賊団を倒せばアジトの中にある物は全て手に入る為、他のパーティーと組んで倒すよりも利益が圧倒的に多い。


「ただそこまで大金を使う機会が無いからどうしようか考えていたんだよ」


「美味しい料理が食べ放題って事だね!!!」


「ラーム、そう言う事では・・・・・・この感じの匂いは」


「もしかするともしかするかもしれないな」


ラルとルウナは斜め右方向からある匂いを嗅ぎ取った。

そして匂いの種類から狙っている獲物の可能性が高いと判断した。


「・・・・・・行ってみる価値はあるって感じだな」


ゼルートが二人の言う場所へ行く事を決断すると六人はなるべく足音を消しながら早足で向かう。

そしてルウナとアレナが匂いを感じ取った地点まで近づくと、二体の魔物の姿が見えて来た。


(あれは・・・・・・はは、マジでビンゴだ!!!!)


そこにいたのは二体のサーベルタイガーだった。


目的の魔物がそう時間を掛けずに見つかった事でゼルートの気分は上がり、足音を消す事を忘れてスピードを上げてしまう。

ゼルートの行動を理解したアレナも足音を消す事をやめて身体強化のスキルを使い、片方のサーベルタイガーに向かってスピードを上げる。


ゼルートとアレナが立てた音に似たいのサーベルタイガーは音がした方へ顔を向け、警戒心を高めるが相手は既に視界から消えていた。


「「ハッ!!!」」


側面に回ってからの首を一刀両断。

並みの斬撃で切断しようにも強固な骨に阻まれてしまうのだが、無駄が無く研ぎ澄まされた魔力を纏った二人の長剣はいとも容易くサーベルタイガーの皮を、骨を、血管を斬り裂いた。


二人に首を切断されたサーベルタイガーは雄たけびを上げる事無く、相手を攻撃する事無く、ましてや相手の姿を認識すら出来ずに目の前が暗闇になってしまった。

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