少年期[270]過去最高
「はぁーーーー・・・・・・あの糞阿保共が・・・・・・。本当に済まない、君に無駄な迷惑をかけてしまって」
「いや、まぁ・・・・・・迷惑って言う程の被害は受けていないんで、そこまで気にしなくて良いですよ。ただ、次は何時になるのかは知らないですけど、また公爵家の子息が来ると思うのでその辺りの引継ぎはしっかりしておいた方が良いと思いますよ」
「ああ、その通りにするつもりだ。それと、その冒険者達は君がしっかりと始末したのか?」
「はい。今頃ダンジョンの養分? になっていると思います」
自分が貴族であるという事を知っている。それならば自分が少年時代に何をしたのか。もしかしら自分の父親が誰なのかまで知っていると判断したゼルートは目の前のギルドマスターに隠さずに事実を話した。
「そうか・・・・・・まぁ、当然の結果というべきか。君には本当に迷惑をかけた。これは少ないが迷惑料として受け取って欲しい」
「分かりました・・・・・・あの、迷惑料という割には少し多い気が」
ギルドマスターから受け取った革袋の中を見たゼルートは、自分が予想していた量より迷惑料が多く戸惑っていた。
「いや、間違いなく正当な量だ。というか、個人的にはもう少し増やしてやりたいのだが、こういうのは私の懐から払っているんだ。なのであまり多く払えなくて済まない」
「いやいやいや、本当に護衛の報酬として十分な報酬を貰ってるんでそんな気にしないでください」
終始低姿勢だったギルドマスターとの会話を終え、ゼルートは受付で待っていたアレナとルウナと合流して宿へ戻った。
「・・・・・・過去の資料を見た限り、アゼレード公爵家の依頼を受けてここまで高評価だったのは初めてじゃないか?」
バーコスのギルドマスター・・・・・・ゾリアスは葉巻を吸いながらセフィーレから貰った報告表と、過去のアゼレード公爵家の依頼を受けた際に書いて貰った報告表を見比べていた。
「いくら両親が元Aランクの冒険者だったとはいえ、これはな・・・・・・・・・・・・まぁ、その点に関して文句は無い。寧ろ有能がルーキーが現れたのは良い事だ」
冒険者になって短期間で頭角を現す冒険者は今までにも多くいた。
ただ、大半のルーキーは増長してしまい、妬みをもった先輩冒険者に潰される。
ゾリアスがゼルートを見た限りそれは無いだろうと断言出来た。
「両親が元高ランクの冒険者なら、ルーキーの時はどう過ごせばいいか教わっている筈だ。それに・・・・・・Bランクの冒険者とCランクの冒険者を相手にして、迷惑と言える被害は受けていないか・・・・・・・・・・・・末恐ろしい限りだ」
Cランクの冒険者は努力が続けられ、そこそこの知識を持っている冒険者ならばたどり着ける領域。
しかしBランクになれば確かな才能が無ければ上る事の出来ないステージとなっている。
そのBランクの冒険者にゼルートは襲われても大した被害は無いと言い切った。
こちらの気を使って嘘をついたのか? 否、ゾリアスはゼルートが嘘は言っていないと解った。
(奴隷として傍にいる人族と獣人族の嬢ちゃん達も、強さは冒険者になったばかりと考えれば以上だ。いや、このアレナって嬢ちゃんは確か・・・・・・・・・・・・もし俺の予想が正しかったらあいつは少し面倒事に絡まれるかもしれないな)
ゾリアスは有名どころの冒険者の大半は頭の中に入ってある。その中にアレナの名前も入っており、アレナの元パーティーも知っている。
「・・・・・・ふぅーーーーー。まぁ、そこら辺は当事者同士で解決してもらう件だな。それに従魔の三体も中々に異常な面子だ・・・・・・うちで何か困った事が起こったら頼らせて貰うか」
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