少年期[234]終局への一歩

目の前のドラゴンの目つきが変わる。


今までの戦況の中で自分達が果敢に攻めている。だが、それでもドラゴンに目立つ傷は付けられていない。

自分達三体が必死に知恵を振り絞り、連携の完成度を実践の中で高め合っていった。


それが目の前のドラゴンには効いていない。そして自分達にはドラゴンから受けた攻撃が効いている。

大きな傷は負っていない。それでも未だに血が流れ続けている。


そんな非情にも実力差を与えてくるドラゴンの目つきが変わった。

何かに興味を持つ目から得物を狩る目へと変え、感じ取れる魔力の質が変化した。


「・・・・・・」


戦いが始まってから一切声を出さないドラゴン。

そんなドラゴンの目つきが変わると翼を扇いで一気に自分達との距離を縮める。


一体の同族が標的にされる。


助けようと側面からフェザーダンスを放つ。もう一体の同族が爪から魔力の斬撃を放つ。


先程までならその攻撃は当たっていた。躱されはしても全てを躱しきれてはいなかった。

今回の攻撃も・・・・・・・・・・・・ドラゴンに当たりはした。


だが、それはドラゴンの翼に跳ね返された。

体の一部に当たったがダメージは一切ない。動きも一切衰えていない。


狙われたヒポグリフも仲間に頼るだけではなく自らも攻撃を行う。真正面からの一点集中型のフェザーダンス。

自分に迫り来るドラゴンの顔面に向かって放つ。

上手くいけば視覚を潰す事が出来、形成が逆転する可能性もある。


しかしそれは甘い考えだったと直ぐに理解する。


同族が側面から放った攻撃をドラゴンは見向きもせずに翼で弾き飛ばす。

そして後ろに動いた翼を正面に扇ぐ。すると自身が放ったフェザーダンスはあっさりと失速して自分と相手の視界を塞ぐ壁となる。


この展開を攻撃を防がれはしたが好機だと思ったヒポグリフはこの一瞬の間にドラゴンの進行方向から逃げようとした。


翼を動かして緊急離脱。


考えを行動に移そうとした直後、羽によって作られた壁が裂ける。


左斜め上から黄色い竜尾が振り下ろされる。翼を扇ぎ終える前に竜尾はヒポグリフの肩を叩き付ける。

体格を小さく抑えているからといって力がそこまで下がる訳では無い。ただ尻尾を振るうのではなく体に回転を加えて叩き付ける。


肩に竜尾を叩き付けられたヒポグリフは地面に急転直下でもう一度体に衝撃を受ける。

先程までとは違う仕留めるつもりで放った攻撃に堪らず口から血を吐いてしまう。口の中を切ったからではない。

体の中を傷つけられた、視界がゆがむ、上手く立つ事が出来ない。


ヒポグリフを空中から地上に叩き下ろしたドラゴンは一瞥すると体の向きを変えて残る二体の内、一体のヒポグリフに雷の球体を口から放つ。


正面から攻撃を放たれたヒポグリフは仲間が地面に叩き付けられた事に動揺して回避が遅れる。


そして先程までの攻撃とは速さが一段違う。


無理に体を動かすが避け切る事は出来ず、翼に雷の球体を喰らう。

翼が・・・・・・羽が焦げて嫌な臭いが漂う。痛みが翼だけでなく全身を襲う。


感覚は斬るような痛み、けれども打撃の後味のように痛みが体に残る。


そして雷の効果で体が痺れて思うように動かない。そんな逃げ場が無い状態をドラゴンは見逃さず突っ込んでくる。

先程と同じように一体の同族が無駄だと分かっていても爪から斬撃を、翼から羽をマシンガンの様に放つ。


翼で弾かれるかもしれないと思いながらも攻撃する。しかし・・・・・・今度は弾かれる事は無かった。

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