少年期[233]本当に・・・・・・満足出来ているか?

ラルがリザードマンを踏みつぶしたタイミングで、ヒポグリフは翼から羽をマシンガンの様に放った。


死線は下に向いており、着地した直後を狙った攻撃は確かに狙いは良かった。

しかし、ラルも同じく羽は無くとも翼を持っている。


翼を大きく動かして先程とは火にならない風圧を向かって来る羽にぶつけた。


フェザーダンスと言われる技を繰り出したヒポグリフは、あっさりと自身の攻撃を防がれた事に驚くもその場から動き出してラルの視界から外れようとした。


その選択は正しく、ヒポグリフが先程までにいた位置には雷の球体が通り過ぎた。


(・・・・・・感が良いと言うよりは、事前に考えていた行動が功を為したというところですね。しかし、あの技は良いですね。私に羽は無いので出来ませんが)


ヒポグリフの攻撃方法に羨みながらも次の標的に定めた。


しかしそれをさせまいと・・・・・・もしくは自分が倒したいが為に襲ったのか、それは分からなかい。


標的をヒポグリフに定めたラルにとって自分に向かって来る低ランクの魔物に対して、丁寧に相手にする気は起こらなかった。


(面倒ですね・・・・・・あまりに原型を壊さない様にしなければ)


目的な一つを忘れず、ラルは電気を自身から半球状に放って向かって来る魔物を痺れさせて戦闘不能にさせた。


(低ランクの魔物ならばエレキフィールドで十分ですね)


自分を襲いに来た魔物が倒れ伏したのを確認したラルは空中戦に繰り出した。


空中には三体のヒポグリフがラルを囲っている。


(ランクCの魔物が三体・・・・・・十分ですね。ただ、下からの攻撃には気を付けないといけませんね)


地上には魔法を使える上位種や弓を扱える上位種がいるので、ラルは下からの攻撃にも警戒しながら空中戦を開始した。


速さはラルが上、力も固さもヒポグリフを上回っている。


しかし数の有利を生かして三体のヒポグリフはお互いに助け合いながらラルに攻撃を仕掛ける。


地上にいる味方の邪魔にならない様にフェザーダンスを一点に集中させて放ち、一体がラルに物理攻撃を行うとすればもう一体が羽から放つ翼撃で牽制する。


お互いにラルから一定の距離を取る事が出来れば三方向から拡散型のフェザーダンスを放ち、完全に逃げ場を無くす。


お互いがお互いの動きを完全に把握しているため現時点でラルからの決定打は一つも貰っていない。

ただ、決定打を貰っていないだけで攻撃は三体とも数回は受けている。


その証拠に三体のヒポグリフの体から決して小さくは無い切り傷が数か所。未だに血は止まらずに流れ続けている。


「「「・・・・・・・・・・・・」」」


三体のヒポグリフの表情に余裕は一切なかった。第三者から見ると相手を追い詰めているのは自分達。

攻撃を喰らう事はあれど決定打は貰っていない。自分達の攻撃も当たっている。


そう、当たってはいる・・・・・・・・・・・・ただ、当たっていると効いているは違う。


三体がラルに傷つけた部分から血が全く流れていない。小さく青痣が出来ているところは少々あるが、本人にとっては全く気にならない。


(連携の錬度はそこそこ。さっきの羽による攻撃の応用も出来ている。仲間のフォローするタイミングも上手い。しっかりと下から放たれる攻撃の事も考えている)


相手の力量に満足はしている。下からの攻撃も良い緊張感をもたらす。


満足はしているが・・・・・・何か今一つ足りなかった。


(・・・・・・これ以上攻撃のネタが無いのならそろそろ終わらせましょうか。敵はあの三体だけでは無いのですし)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る