少年期[224]危な!?
ゼルートは腕に纏わせた風の魔力を回転させる。
(もしかしたら・・・・・・これで決まってしまうかもな)
出来れば躱すか防いで欲しいと思いながら、ゼルートはリザードマンナイトに拳をぶち込んだ。
「スパイラルブロー!!」
回転している風の魔力を纏ったゼルートの拳を、リザードマンナイトは無理やり体をひねりながら、剣の腹で防いだ。
「や、るな!!!」
自分の拳を止められたことで、ゼルートは拳に入れている力を強めた。
少し押されたリザードマンナイトは、すぐさまもう一つの剣の腹も重ねてゼルートに押しきられない様踏ん張った。
リザードマンナイトが身体強化のスキルを使った事で、力に枷を付けたゼルートに近づいており均衡している。
だが、リザードマンナイトの方が分が悪かった。
ゼルートは常に風の魔力を使っているが、魔力操作が極めて高いため、最初に生み出した風の魔力以外を体から放出していないので、まだまだ魔力量には余裕がある。
だが、リザードマンナイトの方はそこまで余裕があるわけでは無かった。
ゼルート程器用ではないため、身体強化のスキルに使っている魔力は確実に減ってきている。
そしてゼルートの回転している風の魔力を纏った拳を防いでいる剣も、普通の剣ではないためそう簡単に折れたりはしないが、徐々に傷がついていきジリ貧状態になっていた。
リザードマンナイトは自分が押されている状況を、野生の勘で察して焦り始める。
少しの間考えた末、残りの魔力量や体力を気にするのを止め、ゼルートに挑む。
「シャ、アアアアアァァァアアアアアアアア!!!!!!!」
リザードマンナイトは身体強化をトップギアまで上げ、ゼルートを押し返し始めた。
「うお、っと。このやろう・・・・・・やるじゃねか!!!!!」
ゼルートも拳に入れている力を更に上げ、また押し合いを均衡状態にさせた。
リザードマンナイトはそこから奥の手を使い、均衡状態を崩そうとした。
リザードマンナイトの魔力の変化に気づいたゼルートは、警戒心を強めた。
(魔力の流れ、様子が変わった・・・・・・何か来るな)
ゼルートがリザードマンナイトの次の行動を予測した瞬間、リザードマンナイトが持っている剣大きな炎が纏わりついた。
剣の腹に拳をが触れていたゼルートは、すぐさまその場から飛びのいた。
「熱っつ!!!! ちょい待て、いきなりすぎるだろ!!! というかその炎の量は可笑しくないか!!??」
リザードマンナイトの二刀の剣に纏っている炎の大きさは、ゼルートにとって完全に予想外のものだった。
ゼルートがすぐさまリザードマンナイトに鑑定眼を使う。
(属性魔力を剣に纏わせるのは二刀流のスキルの高さから分かるが、この炎の大きさは可笑しいだろ。大剣と変わらねぇじゃねぇか。その割には魔力量が減る速度がそこまで速くない・・・・・・剣に何か秘密でもあるのか?)
ゼルートは秘密がありそうな二つの剣を鑑定眼で解析した。
(エレメントブースト・・・・・・剣に魔力を纏うことで、魔力の消費量を抑える。そして剣に纏う属性魔力を強化する。ランクは五・・・・・・いや~~~~~中々に高性能だな。もっと剣のランクが高ければ、個人の力にもよるけど戦場で無双出来そうだな。というか、身体強化に使ってる魔力まで消費が抑えられてないか? 副次的な効果かそれとも錬度によって出来るものなのか・・・・・・まぁ、どっちにしろ欲しい剣ではあるな)
押され気味なゼルートだが、表情に曇りは一切なく得物を狙う狩人の目になっていた。
(大したもんだが、それぐらいで俺を殺せると思うなよ)
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