少年期[223]器用なことだ
ゼルートは足に魔力を纏わせ、攻撃の態勢を取った。
(折角の強敵だ。魔力で身体能力を上げるのはやめとこう。そうすればもっと楽しめそうだからな。さて、これにはどう対応する?)
ゼルートは足から六連続で魔力の斬撃を放つ。
リザードマンナイトは自分が今まで見たことが無い攻撃に、驚きはするものの動きは止めず迎撃を開始しする。
「シャッ、アアアア!!!」
リザードマンナイトは二つの剣から剣術スキルの技、斬撃波を放ち六波全てを相殺した。
「わぉ、まさか全部同じ形で相殺するか。器用さも中々のもんだな」
ゼルートがリザードマンナイトの器用さに感心していると、今度はこちらの番だとばかりリザードマンナイトが飛び出し、ゼルートに斬りかかって来る。
「っと、さっきよりスピードが上がってるな。ギアを上げて来たか。そうこなくちゃな!!」
テンションが上がって来たゼルートは、リザードマンナイトの二刀を避けるだけでなく蹴り、ジャブ、ストレート、ボディーと反撃を始めた。
ゼルートとリザードマンナイトの超近接格闘が始まってから約二分、ゼルートは違和感を感じ始める。
(・・・・・・またギアを上げたのか? さっきまでの速さとは違う。でも、別に急激に上がったわけじゃない。自然に、注意していないと分からない程の速さで少しづつ上がってる。固有スキルみたいな奴か? いや、二刀流のスキルでそんなのがあった気がするな・・・・・・クイックムーブだったか。動き続ける限りスピードが徐々に上がっていくみたいな内容だったな。ポケ〇んの特性のかそくみたいな奴だな。別にまだ対応できるけど、このままだと少し面倒だな。というか、こいつ本当に凄いな)
クイックムーブは、技の性質上少しでも止まってはならない。
剣を振り終わってから、同じ軌道に戻ろうとするとほんの少しではあるが、動きが止まってしまうため効果が中断されてしまう。
文字通り流れに乗って動かなければ、直ぐに効果がリスタートされる。
(使い続けるのはかなり難易度が高いって父さんが言ってたけど、それをこいつ俺の攻撃を躱しながら続けてんのか。体がやけに柔らかい気がするな。軟体みたいなスキルでも持ってんのか・・・・・・いや、そう言う訳でも無さそうだな。体の所々に傷か付いている。実戦で得た傷だろうな。経験から出来る動きか・・・・・・はは、ますますいいな!!! けど、悪いけどこのまま調子に乗せはしねぇぞ)
ゼルートはリザードマンナイトの斬撃を躱し、肘で鱗を斬り裂こうとした。
勿論スピードに乗っているリザードマンナイトは、後ろに少し下がるだけで躱せると思っていた。
そしてゼルートの肘をリザードマンナイトの腹に当たらなかった。
「紙一重の避け方はデメリットもあるんだぞ」
ゼルートは一瞬で肘先から魔力の刃を伸ばした。
「シャアァ!?」
予想していなかった攻撃に、リザードマンナイトは振り下ろそうとしていた腕を一瞬止めてしまった。
そしてゼルートの魔力の刃は内臓を少し掠めており、リザードマンナイトは口から吐血していた。
(隙にしては十分!!)
ゼルートは瞬時に足に魔力を纏い、右足で後ろに跳んで距離を確保し、今度は左足で跳んでリザードマンナイトに突っ込んだ。
そして見事に飛び蹴りを腹にぶちかました。
ゼルートの跳び蹴り喰らったリザードマンナイトは、その場にとどまることが出来ず後ろに吹き飛ばされてしまう。
「今回は手を緩めないぞ」
ゼルートは後ろに吹き飛ばされたリザードマンナイト以上の速さで後ろに回り込み、腕に風の魔力を纏わせ攻撃を加えようとした。
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