少年期[222]運が良い?
ゼルートは目の前のリザードマンナイトの強さを感じ取り、興奮を抑えきれないでいた。
(はっ、魔物の群れの中でこんな強そうな奴と会えるなんてな。ほんと、スケイルグリズリーの時と同じで、こういう時は運が良いよな。でも・・・・・・護衛依頼的にはこういったイレギュラーな魔物は出てくるのは、マジでノーセンキューなんだけどな。俺達で相手をするって言って良かったわ。こいつ、セフィーレさんより多分強いだろうからな)
ゼルートとリザードマンナイトが向き合い空気がピリピリ張り詰めていて、他の魔物達はゼルートに攻撃を仕掛けようとはしなかった。
普段ゼルートはあまり実力を他人に悟られない様、力もそういった雰囲気を隠していた。
だが、目の前強者であるリザードマンナイトを前に、無意識に実力を隠すことを止めており魔物達にゼルートの強さが伝わっていた。
(周りの魔物は俺に攻撃してこないのか・・・・・・珍しいな。ダンジョンだとそういった事は無いはずだ。まぁ、俺にとっては好都合だから良いけどな。というか・・・・・・この状況ってなんか懐かしいな。そうか、ゲイルと初めて会った時と似ているんだ。まぁ、ゲイル程は強くはないと思うけど。俺も強くなってるし)
ゼルートの考え通り、リザードマンナイトの強さはゼルートが初めて会った時のゲイルより強くはない。
だが、ゼルートにとってそんな事はどうでも良かった。
「そうであっても・・・・・・俺が楽しめる事は変わりないしな」
「ッ!!!!」
ゼルートの口端が吊り上がった笑みに、狂気を感じたリザードマンナイトは即座に二つの剣を構えた。
リザードマンナイトが構えたの見て、ゼルートも攻撃の準備の態勢をとった。
少しの間の沈黙が過ぎ、最初に動いたのはリザードマンナイトだった。
「シャアアアア!!!」
リザードマンナイトに様子見のつもりはなく、現状での全力でゼルートに斬りかかる。
両側からの一閃。素人の攻撃ではなく、しっかりと標的を三等分に出来る斬撃だった。
だが、抜け道が無いわけでは無く、ゼルートにとってその道を選び、行動に移す時間は十分にあった。
(攻撃の速さは中々。でも予備動作が大きいな。こいつの力と力量なら、もっと相手に動きを悟られず攻撃することが出来ると思うんだけど・・・・・・まぁ、魔物にそこまで考える頭はないか)
自分に攻撃が迫っているというのに、ゼルートは自分の命を刈り取ろうとする魔物の事を考えており、この状況をとても楽しんでいた。
両側から迫る二つの剣を、ゼルートはバク転で躱して反撃に移った。
「今結構テンションが上がってるんだ・・・・・・これで終わってくれるなよ!!!」
ゼルートは腕に魔力を纏い、リザードマンナイトに殴りかかった。
「ッ!! シャアアア!!!!」
ゼルートのスピードにリザードマンナイトは一瞬驚いたが、直ぐに躱すのは無理だと判断し、腕をクロスさせ防御態勢をとった。
「おっ、らあああ!!!」
ゼルートに魔力を纏った右ストレートをもらったリザードマンナイトは、後ろに大きく吹き飛ばされる。
だが、ダメージはそこまで大きくはなく空中で態勢を立て直そうとしたが、ゼルートに攻撃はまだ終わっていなかった。
「ッ!!??」
リザードマンナイトの腕にもう一度、そしてもう一度衝撃が加えられ、クロスしていた腕が弾かれた。
ゼルートはただ殴るだけじゃ味気ないと思い、一工夫を加えていた。
「結構吹っ飛んだな。時間差の連撃ってのも良いもんだよな。というか、今の攻撃を受けても着地をミスらず、武器を落とさないか・・・・・・本当に当たりだな」
ゼルートはニヤニヤと笑いながら、次の攻撃に移っていた。
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