少年期[215]見た目って重要だよな
ゼルート達が今日も野営で食べるとは思えない程、豪華な夕食を食べいるとオークジェネラルの焼き肉に齧り付いていたラルが、急に立ち上がった。
それを見たルウナが何か来たのかと思い、鼻でその正体を探った。
「・・・・・・魔物か、ルウナ」
「いや、魔物じゃない。人・・・・・・おそらく冒険者だ。数は、五人だな。どうするんだ、ゼルート」
こちらに向かって来る冒険者にどう対応するか悩んだゼルートは、目でセフィーレに聞いた。
すると、帰って来た答えは任せるだった。
(ん~~~~、段々姿が見えてきたな。・・・・・・男が三人、女が二人。表情は・・・・・・疲労しきってんな。こっちに向かって来るって事は食事目当てか? まぁ、ダンジョンの中でこんな良い匂いがしたら、つられてこっちに来ても可笑しくはないか)
取りあえず、こちらに向かってきてる冒険者達が結界石によって作られている結界に触れたら、面倒なことになってしまうので、ゼルートは結界を解く。
「ふ~~~~~、本当はアレナ辺りに対応してほしいんだけど・・・・・・」
「何言ってるのよ。そこら辺はゼルートの仕事でしょ」
アレナはロックバードの焼き鳥を食べながら、そういうのは私の管轄外ですと答えた。
それに対してゼルートは唇を尖らし愚痴を吐いた。
「出来れば年長者の先輩冒険者、アレナが対応するのが問題なく済むと思うんだけどな」
ゼルートの問題と言う言葉にアレナは一瞬、ゼルートの言う通り自分がこちらに向かって来る冒険者の対応を取った方がいいかと思ったが、ダンジョンでは死に繋がるきっかけが多く、空腹もきっかけの一つになっている。
この階層にまで潜って来る冒険者なら、見た目が子供(実際に子供)のゼルートが対応しても、子供だからって下手な対応はしないだろうと思った。
「大丈夫よ。この階層まで潜って来る冒険者なら、見た目が子供のゼルートが対応しても、面倒なことは起きない筈よ」
そう言ってアレナは食事を再開した。
そんな二人のやり取りを見ていたソブル達は、苦笑いになり、以外に苦労しているんだなとゼルートに慰めの視線を向けた。
「わかったよ。ちょっと行って来るわ」
「「行ってらっしゃい」」
送り出されたゼルートはアレナの言う事も一理あるかと思ったが、それでもやっぱり不安が残っていた。
そして五人組の冒険者との距離が一―メートル程になったところで、ゼルートから声を掛けた。
「俺の所のパーティーが野営してる所に、一直線で来たけど何か用ですか?」
こちらに向かってきたのが見た目が子供のゼルートだったので驚いた顔になっていた五人組だが、リーダーらしき男が直ぐに理由を話した。
「えっと。もの凄くいい匂いがしてきたからね。つられて来てしまったんだ。ここのところ干し肉や黒パンしか食べてなくてね、出来れば少し譲ってくれないかと思っているんだけど、パーティーのリーダーの人と話をさせて貰えないかな」
男の言葉にゼルートは表情に出さなかったが、心の中で大きくため息をつく。
(まぁ、普通こういう反応になるよな。だから嫌だったんだよ。俺がパーティーのリーダーに見える筈ないだろ)
内心で愚痴りながらもゼルートは目の前の冒険者達に、自分がパーティーのリーダーであることを伝えた。
「悪いがパーティーのリーダーは俺だ」
冒険者達は予想外の言葉に、ゼルートの言葉を理解できなかった。
ゼルートにとっては真実を告げただけなのだが、男三人の内の一人がバカにされたと思ったのか、ゼルートの胸倉を掴もうと詰め寄って来た。
「おい、俺達は今ガキの戯言に付き合ってる余裕はないんだよ。しょうもない嘘ついてないでとっとと・・・・・・」
男が最後まで言い終わる前に、ゼルートはロングソードを抜いて行動に移していた。
「こっちこそ貴族の護衛依頼でここまで来てるんだ。敵対行動するってんなら・・・・・・悪いが容赦はしない。敵とみなして、潰す」
ゼルートは男の手を半身になって躱し、ロングソードの剣先を男の喉に当てていた。
数秒程膠着時間があり、そして五人の冒険者達は目の前で何が起こったのかを理解し、一気に顔を青ざめた。
今回のゼルートの行動は威嚇なだけで、殺す気はありません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます