最終話~幕間2~

えるみん:わかっちゃったー!


 シーンの合間に唐突に叫びだす女、えるみん。正直ビビった。


だみ:……何が分かったって?

えるみん:ふふん、聞いて驚けー。


 いやもう既に驚いてる。とは口にせず次の言葉を待つ。


えるみん:プラプロのキャンペーンはね、『知恵の輪でできた知恵の輪』なのだよー!

だみ:…………ナ、ナンダッテー。というか、なんだって?


 『知恵の輪でできた知恵の輪』なる謎存在を定義するところから始めなくてはいけない。

 これは……通訳判定の難易度が厳しすぎる。ぶっちゃけ分からん。


だみ:えるみんよ、それを他の言葉で表すとどう言える?

えるみん:えー、ベストな言葉なのにー。


 ベストの定義が崩れる……。口を尖らせるえるみんだったが、次の言葉はこうだった。


えるみん:んーとね、わかりやすく言うとね、『四重の知恵の輪』なのです!

だみ:四重……四。あー、なんとなくだが分かったぞ。つまりこうだな?

 仲良し四人組の話がもつれ合ってできてる話って事か。


 しかし私の答えにどや顔で首を振る。伝わらなかったのになんでどや顔なんだ……?


えるみん:それだけじゃないんだよ、だみ。その四個の知恵の輪がね、奏 時貞っていうひとつの大きな知恵の輪にくっ付いてるんだよー!

だみ:…………。


 確かにその構図自体は正しいだろう。だが、これだけは言わずにはいられなかった。


だみ:なあ、えるみんよ。四重の知恵の輪と、ひとつの大きな知恵の輪。合計いくつだ。

えるみん:…………。


 首を傾げながら、恐らく頭の中で数え直してるのを、笑いを堪えながら見守る。


えるみん:……わかりやすく言うとね、『五重の知恵の輪』なのです!

だみ:さらっと無かった事にしやがったな、テメェ!?


 えーーだってー、とか言い訳してるのを爆笑しながら聞き流して、シナリオを確認する。

 次のシーンプレイヤーは……ふむ。この二人の絡みは──重要になる。


だみ:うっし。気合入れてRPしていきますか!

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