第四話〜クライマックス(1)〜

影裏:奏、てめーは俺を怒らせた。

GM:ふふ、次は今回のクライマックス戦闘のシーンとなる。シーンインをどうぞ! シーンプレイヤーは春見だ!

影裏&春見:シーンイン!(影裏:112% 春見:104%)



 杏子が春見の目を──右目を見て、口を開こうとした時。

 彼女の目の焦点が大きく揺らぎ──強力なワーディングが展開される。


杏子:「ぁ、あ、ああ……」

春見:「──お姉ちゃんっ!?」

杏子:「"思い、出した"──春見と、影裏さんは……敵──ッ!」

春見:「──ッ!? これって……」


 一度距離を取り魔眼を展開させる春見。しかし、狭い室内では不利だからか、杏子は素早く窓を突き破り外へと飛び出した。

 京香に傷の癒えきらないプランナーと及川の守りを頼み、春見と影裏は杏子と対峙する。


影裏:「春見っ! 今のワーディングは……!」

春見:「お姉ちゃんが……誰かに操られてるみたい。恐らく、奏 時貞に」


「絶対に──赦さないっ」


 右目から強い光が迸る。それは、春見の強い感情に呼応しているようだ。


杏子:「影裏、さん。春見。貴女たちは、大切な、人を──うぐっ」


 呻くように口にして、頭を抑える。


影裏:「……認識を歪まされてるのか……なんてことを」

春見:「何としても止めなきゃ」

杏子:「────」


 杏子が頭から手を離すと同時、二人の背筋に冷たいものが流れる。

 ──強い殺気。それを裏付ける、肌が粟立つほどのレネゲイド。


杏子:「……私から、私の全てを奪った人」


 杏子が手を伸ばした先に巨大な鎌が現れる。それは彼女が発する殺意が具現化したかのようだ。


春見:「……あながち、間違いとも言えないのかな。お姉ちゃんの人生を狂わせたのは、私なのかも」


 その小さな呟きに、影裏は静かに。けれども強く、ハッキリと。


影裏:「お前達の間に何があったのか、詳しくは知らん。

 けどな……家族が殺し合うのを、黙って見逃す俺じゃない」


 両腕に黒炎を噴き上がらせ戦闘態勢を整える。


春見:「……うん、私は知ってるよ。結理君の隣に、ずっと居たからね。

 お願い結理君。お姉ちゃんを……"私は"救いたい」


 他でもない、春見自身の意志で。


春見:「手伝って!」

影裏:「ああ。任された!」


 その様子を、杏子は昏い目で見つめる。


杏子:「嫌い……嫌いだ。影裏さんに嫉妬する心も。春見を守れなかった自分も! 全部……全部ッ!」


 強い杏子自身への嫌悪の心。それが強い自傷の衝動を孕んだレネゲイドとなって二人に叩きつけられる!



GM:衝動判定だ。難易度は<意志> 9!

影裏&春見:(ダイスころころ)達成値13で成功!


 衝動侵蝕により二人の侵蝕率は(影裏:123% 春見:119%)となった。



 昏い眼差しのまま、杏子は音もなく大鎌を構える──。



春見:「おいでお姉ちゃん。私が──赦してみせる」

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