第四話〜マスターシーン3〜

GM:シーンの途中だが、トリガーシーンとしてマスターシーンを演出しよう。

春見:あれ、もしかして地雷踏んじゃった?

GM:いい感じにな!



 時間は少し遡り、影裏たちが戦闘後、海上プラントで情報を漁っている頃。

 手傷を負って撤退した奏は、自身のクローンで偵察し、アンナへ攻撃を仕掛けていた。


アンナ:「っ、数が多い……、けれど、この程度でやれるとは思わないことです」


 大量のクローンたちに囲まれながらも、素早い身のこなしで捉えさせない。

 戦力は拮抗していたかに見えたが──その速さが仇となり、直接攻撃以外への対応が、一瞬だけ、遅れた。


 少し距離を保っていたオリジナルの奏の左目が輝き、アンナと目が合う。


アンナ:「しま──ッ!」


 その瞬間に、アンナも、クローンも、動きを止めた。

 《ブレインジャック》とEロイス『歪んだ囁き』の演出だ。


奏:「……おや? 君は名前がふたつあるんだね。なら、君のことは本名で呼んであげるとしよう。

 なんせ誰も呼ばないようだからね」


 その口角を釣り上げ、アンナ──杏子の記憶を分析し、改竄していく。


奏:「佐倉 杏子。『君の敵は影裏 結理と佐倉 春見』だ。理由は、そうだな。大切な人を奪った、とでもしておこうかな」

杏子:「て……き……」

奏:「おっと。彼らのセーフハウスの場所も知っているようだね。ならその家の周辺で待ち伏せているといい。そして条件として──」



「君が佐倉 春見の右目を見たときに『二人が敵である』ことを"思い出して"もらおう」



 奏は心の底から楽しそうに声を上げる。


奏:「さ、行ってくるといい。もし佐倉 杏子が仇を討てたなら、君の記憶を元に戻してあげよう! ……もっとも──」



 ──記憶を弄られたことも、もう分からないと思うけどね。

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