第四話〜ミドル3〜

GM:それじゃ二人とも、シーンインをお願いするよ。

影裏:シーンイン!(侵蝕値79)

春見:こちらもシーンイン(侵蝕値69)

影裏:侵蝕ががが(白目)

春見:頑張って(苦笑)

GM:生きて……。



 影裏たちが踏み込んだ部屋、空調が施された冷たいその部屋には、本棚のように──あるいは棺桶のように無数の機械が立ち並ぶ。それらは噂に聞いたスパコンに酷似している。

 唯一違う点といえば、その機械群は全てがぼんやりと光り──レネゲイドを発している点だろう。


影裏:「……いかにも、って感じの部屋だな。プランナー、ここで間違いないか?」

プランナー:「ええ。間違いないわ。そして──そこにいるのでしょう? 出て来なさい」

春見:「──っ!?」


 プランナーが声をかけると、機械の影から一人の男が姿を現す。


奏:「さすがはプランナー。お見通しですか」

春見:「奏、君……」

影裏:「出やがったな、奏 時貞」

奏:「やだなぁ、人をバケモノみたいに。……でも、僕の想定していた"プラン"より14分38秒遅かったようだ。少し下方修正するとしよう」

春見:「貴方は、一体何者なの」

奏:「さぁて。何者でしょうねぇ」


 薄笑いを浮かべ挑発する奏。


影裏:「答えないなら容赦はしない。誰かさんのおかげでUGNじゃなくなったからな、人道に配慮するとは限らんぞ」

奏:「はは。何を言うかと思えば」


 しかしその笑みは消え、冷たい敵意を孕んだ目を向ける。


奏:「お前こそ、僕の"プラン"の邪魔なんですよ。……その存在がね」

影裏:「そうかよ。そいつは生き延びた甲斐もあるってもんだぜ」

奏:「まったく。君たちを見ていると不快でならないよ。影裏、佐倉。君たち二人は既に死んでいる運命だったのに」

春見:「──運命?」

影裏:「どういう意味だ……お前、何をどこまで知っている」

奏:「なに、ただの愚痴さ。それもじきに意味を失くす。──生きてこの部屋を出られないのだからね」


 奏の言葉と共に、周りから影裏たちと奏以外の景色が退去していく。

 闇のように黒く無機質な空間が出来上がり、一人、また一人と奏クローンが増えていく。


GM:Eロイス:虚実崩壊、さらなる絶望、永劫の奴隷を組み合わせた演出だ。

 本来のタイミングとはちょっとズレてるけど、特殊裁定として許してほしい。


プランナー:「……みんなはクローンたちを頼むわ」

影裏:「ああ、こっちは任せろ」

春見:「……分かりました」

奏:「へえ。ならお相手願おうかな、プランナー。……おい、そいつらは任せたぞ」

春見:「目に気をつけてください、プランナー」

プランナー:「分かってるわ。ありがとう、春見ちゃん」

春見:「(春見ちゃん、か……)」


 大量の奏クローンが現れると同時に、奏(オリジナル)とプランナーが消える。《瞬間退場》と《瞬間退場Ⅱ》だ。


奏クローン:「「「対象を除去する。言霊遣ソウルパピオンい。黎明特異点。そして──名もなき異分子イレギュラー」」」

影裏:「……黎明、特異点……? ちっ、細かい話は後だ。迎撃するぞ!」

春見:「数が多い……うんっ、気を付けてね結理君!」

京香:「私も、戦うっ!」



GM:ここでNPC効果を公開だ!


 NPC効果:都築京香

 以下のエフェクトから1ラウンドに1つを選び使用することができる。ただし戦闘中に限る。


 《解放の雷》(対象:単体 タイミング:オート)

 対象が次に行なうメジャーアクションの判定のC値を-1(下限値6)し、その攻撃力を+4する。

 詳しくはサプリ:エフェクトアーカイブの該当エフェクトを参照して欲しい。


 《間隙の魔術師》(対象:単体 タイミング:オート)

 効果に同意する対象が戦闘移動、または全力移動を行なう際に使用。その移動ではシーン内の任意の場所に移動できる。エンゲージからの離脱も可能。また、移動した場合白兵攻撃力を+10する。ただし、戦闘そのものから逃走することは不可能とする。

 詳しくはサプリ:ヒューマンリレーションの該当エフェクトを参照して欲しい。



影裏:いただきます! とはいえ、白兵攻撃力+10の効果は受けられないか。残念。


 そう。影裏と春見は二人とも攻撃に使うのはRC。白兵で戦うことはないのだ。ではなぜ、このGMはわざわざ白兵攻撃力が上がるNPC効果を作ったのだろうか。

 それについては(毎度のことながら)今後に期待していただけると幸いである。



影裏:「本人をぶん殴れないのは残念だが……邪魔立てするなら容赦はしない。行くぞ」

 両腕を黒い劫火が包み、戦闘態勢へと移行する。

春見:「その目の正体、ここで探らせてもらいます。いつものコンビネーションで行くよ!」

 魔眼が一際激しい光を放つ。

京香:「二人とも、気を付けて!」

 強く鼓動する胸を抑えつつ二人の後ろに退がる。



GM:三人の前に、両手に剣と銃を持つ大量の奏クローンたちが立ちふさがる……!

 戦闘条件を公開しよう。

 影裏と春見は開始時に同エンゲージで、彼我の距離5m地点に2体のトループが同エンゲージで存在する。

 また京香はNPC効果としてのみ参戦し、攻撃は受けないものとする。

 戦闘終了条件は敵の全滅。2体とも倒してくれ。

影裏:OK!

春見:なるほど、了解。

GM:それじゃ戦闘開始だ!



GM:まずはセットアップ!

影裏:なし!

奏クローンA&B:なし!

春見:結理君に《アクセル》を宣言。行動値を上げてクローンたちより早く動いてもらう!


GM:OK、イニシアチブ、影裏!

影裏:マイナーで戦闘移動、クローンたちのエンゲージに突入するぜ!

 メジャーでコンボ:シャドウフレア:《コンセントレイト:ウロボロス》+《原初の赤:災厄の炎》:メジャー:<RC>:対決:範囲(選択):至近:侵食7:攻撃力21

 そして判定前に京香のNPCアシスト《解放の雷》を申請!

奏クローンA&B:こっちはドッジを選択。《イベイジョン》の効果でドッジの達成値は18で固定だ。

影裏:いくぜ!(ダイスころころ)達成値43、命中!

GM:ですよね!(白目)

影裏:ダメージが(ダイスころころ)55点!

GM:装甲値で15点軽減して……40点のダメージ! イッテェ!



京香:「(……抑えても、抑えきれなかった分だけを……!)」


 初めての正面戦闘で張り詰める鼓動を感じながら、プランナーの言葉を反芻する。

 そうして作り出された微弱な電撃が、影裏の体細胞を活性化させた。


影裏:「燃えろ!」


 より一層激しさを増した黒炎が奏クローンたちを燃やし尽くす!



GM:(HP1につき1体換算とすると、今ので合計80人が焼かれた訳か)

 敵はかなりの数が倒されたぞ!

 次、イニシアチブ、奏クローンA!

奏クローンA:マイナーで《クイックモーション》《ターゲッティング》「高速振動ブレード」を宣言。

 メジャーでコンボ:フェイタルチェイサー:《コントロールソート:白兵》《急所狙い》《フェイタルヒット》《虚構のナイフ》《戦闘嗅覚》:白兵:至近:単体:攻撃力42+4D

 対象は目の前の影裏!

 影裏:……これ本当にミドルのエネミーか? 火力……(苦笑)

 まあいい、来い!

奏クローンA:達成値……(ダイスころころ)14だ。

影裏:リアクションでガードを宣言。オートで《原初の紫:氷盾》!:ガード値+35(+ガード値6+装甲値10)

奏クローンA:(ダイスころころ)ダメージ、71点!


影裏:いってぇ!? 20点も通ったぞ!

春見:……これは厳しいな。

GM:耐えたか。だがもう1トループいるぞ!

 イニシアチブ、奏クローンB!

奏クローンB:先ほどのAと同じ行動だ。対象もそのまま影裏!

影裏:来い!

奏クローンB:達成値……(ダイスころころ)14!


GM:さすがクローン、達成値が変わらない(笑)

影裏:それな(笑)

 防いでも、このHPじゃ耐えきれないか。ドッジを宣言!

 達成値は(ダイスころころ)8! 《宵闇の魔花》貰っても1足りない!

春見:うわぁ……。

影裏:妖怪ぃぃぃ!!!


奏クローンB:(ダイスころころ)ダメージ68点、沈め!

影裏:戦闘不能……だが《リザレクト》だ。HP3で復活!


春見:えっぐい火力……。灰水に入れてアク抜きしなければ。

GM:アクごと召し上がれ(はぁと)

影裏:ミドル戦闘1R目で……侵蝕率92%……?(ぐるぐる目)


GM:……イニシアチブ、春見!

春見:マイナーは放棄。メジャーでコンボ:蝶紋華(パピリオ・マギカ)《コンセントレイト:バロール》+《死神の瞳》+《流血の胞子》:メジャー:〈RC〉:対決:単体:視界:侵食6:命中時、次回HPダメージ算出時にダメージダイス+7D、邪毒Lv4

 対象は奏クローンAね。

奏クローンA:勝負だ。《コンバットシステム:射撃》《守りの弾》を宣言! 黒蝶を撃ち落としにかかる!

春見:ほぅ? では勝負!(ダイスころころ)達成値59! どやぁ。

奏クローンA:(ダイスころころ)達成値……16。くっ。

春見:どややぁ。ではダメージダイス+7Dに邪毒Lv4をくらいませぃ!

奏クローンA:ぐッ!?


GM:それではクリンナップ……なのですがぁ……。



 ジリジリと距離を詰める奏クローンたちが、その身体を侵す毒の前に次々と倒れ臥す。



GM:奏クローンA、邪毒の12点ダメージで戦闘不能!

春見:やった!

影裏:グッジョブ!


GM:ということで、ターンが回ってセットアップ!

春見:繰り返し結理君に《アクセル》を宣言!

影裏:ここで落とす!


GM:イニシアチブ、影裏!

影裏:マイナー放棄!

 メジャーでさっきと同じコンボ! 京香の《解放の雷》も!



 残りの奏クローンたちを倒すべく両腕の黒炎を大きくする影裏だったが、それによって心身にかかるはずの負担がまるで無いことに気付く。


GM:ここで何者かによって影裏に《テイクオーバー》が使用される。この侵蝕は上げなくてオッケーだ。

春見:ほぅ?

影裏:おぉ? 《テイクオーバー》っていうとレネゲイドビーイング専用のエフェクトよな?

GM:うむ。上昇する侵蝕値を肩代わりするエフェクトだね。

影裏:まじか、すげーありがたいけど誰……!?

 まあいい、行くぞ!

奏クローンB:来い!


影裏:(ダイスころころ)達成値45!

奏クローンB:至近からの攻撃は全て《イベイジョン》でドッジ達成値18で固定されているので……命中だ。

影裏:(ダイスころころ)ダメージ54!

GM:奏クローンB、戦闘不能!

 戦闘終了条件達成!

影裏:勝ったーーー!!!

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