第二話〜オープニング(1)〜
GM:まずはオープニングシーンだ。場所はUGN日本支部の食堂、時間は昼時。シーンプレイヤーは春見だけど、できれば影裏にも登場してほしい。
影裏:うむ、では影裏も登場するぜぃ。
穏やかな陽気の昼時だった。N市ではこれといって大きな事件は起きておらず、影裏と春見の二人は午前中の雑務を終えUGN日本支部の食堂で春見が作って来た弁当を広げ、昼食を取っているところだ。
そんなところに遠藤千夏がやってくるところからシーンはスタートする。
遠藤千夏(以下、千夏):「こんにちは、影裏さん。佐倉さんも。お昼、ご一緒してもいいですか?」
朗らかな人懐っこい笑顔を浮かべる彼女は、春見の補佐官に当たる少女だ。ちなみに立ち絵は"ブレイブルー"の"ノエル・ヴァーミリオン"を使っている。
春見:「あ、千夏ちゃん。どうぞどうぞ」
そう言って自分の隣の椅子を引くよ。
影裏:俺の隣に座らせないという強い意思を感じる(笑)
春見:半分無自覚だけどね……(笑)
影裏:これは悪い子ですねぇ。
GM:くそう。影裏の隣に座る計画がぁ!
影裏:マジか、そんな計画あったんか(笑)
影裏:「そんじゃ、いただきます……っと、遠藤か。別に構わんぞ」
千夏:「やった。ありがとうございます!」
一瞬影裏の隣の席を見てから、春見の隣に食堂メニューのうどんを置く。
春見:「……いつもそれだね。うどん好きなの?」
千夏:「家にそれほどお金がないので、一番安いメニューなんです。それに美味しいですよ、ここのうどん!」
春見:「うん。美味しいとは思うんだけど……栄養偏っちゃうよ?」
千夏:「あ、あはは……気を付けます」
影裏:「ふむ……ちょっと待ってろ。すまん春見、先に食べててくれ」
言い残して席を離れよう。
千夏:「どうしたんでしょう、影裏さん」
春見:「……今にわかるよ」
目を細める春見。千夏には分からない影裏が次に取る行動を、彼女は正確に読み取っていた。
影裏:少しして戻って来た影裏の手には、別売りの副菜小鉢がいくつか乗ったお盆が。
「ほれ、たんと食え」
その小鉢を千夏の前に並べていく。
千夏:「え、え、あ──」
春見:「ふふっ、よかったね。千夏ちゃん」
影裏:「俺たちは体が資本みたいなとこあるからな。流石に毎日奢る気はないが、たまにはいいだろ」
千夏:「助かります、ありがとうございます、影裏さん!」
影裏が席に着くと、食事が再開される。しばらく食事に手を付けてから、千夏が疑問を口にする。
千夏:「それにしても、佐倉さんは影裏さんと付き合い長いんですか? さっきの、席を立っただけで分かるなんて」
春見:「まあ、幼馴染だし。それにずっと一緒に暮らしてたしね」
影裏:「俺が両親を早くに亡くしてな。それ以来、春見の家で世話になってるんだ。
(まあ、微妙にきな臭い家ではあるが……)」
千夏:「──。そう、なんですか」
影裏:「っと、飯時にする話でもないな。うどん伸びちまうぞ」
千夏:「……あ、そうですね」
といって食べ始めた君たちのところへ、食堂のテレビ音声が流れてくるよ。
ニュースキャスター:「──なかなか執行されない極刑が問題視されており、今なお多数の死刑囚たちが収容所に残されています。15年前に『雨夜の殺人鬼』として世間を騒がせた連続通り魔殺人犯、薬島陸(やくしま りく)死刑囚も、未だ拘束されたままであり──」
「──被害者遺族は一刻も早い刑の執行を望んでいるようです」
影裏:「……」
弁当に伸ばした箸がほんの一瞬、止まる。
春見:「……結理君?」
影裏:「いや、なんでもない」
何事もなかったかのように食事を続ける影裏。
GM:影裏が何かを隠している──春見はそう感じつつも深くは切り込まない。しかし、千夏は違った。
千夏:「影裏さんは、どう思います? 早く死刑が執行されればいいのにって、思いますか?」
影裏:「そうだな……俺個人の所感としては、死刑自体、あまり賛成はできない、かな」
千夏:「…………理由を聞いても?」
影裏:「人の生き死になんて、本来、そう簡単に左右されるべきことじゃないと思う。もちろん、極刑を望む遺族の気持ちというものもあるだろう。それでも、俺は……」
そう呟き、右手を──多くのジャームを貫き殺してきた自身の右手を見つめる。
春見:「……」
影裏:「多くの命を奪ってきた者として、誰かの死を望む人間では、ありたくない。……うまく纏まらんが、そんなところだ。まあ──」
深刻な表情から一変、困ったように笑う。
影裏:「だからといって、極刑を望む気持ちを頭から否定する気もないんだが」
千夏:「──そう、ですか。さすがですね」
春見:「……さ、二人ともそこまでにしよ? 折角のご飯なんだし、もっと楽しい話をしない?」
千夏:「あ。そ、そうですよね! すみません、こんな話振っちゃって!」
影裏:「……だな。せっかくの春見の弁当が不味くなっちまう。それじゃあ大損だぜ」
春見:「ふふっ。今日はいつもより時間があったから腕によりをかけてみたよ」
影裏:「ん、今日の弁当も美味い」
しかし、春見なら気付くだろう。影裏の箸の進みが、ごく僅かにではあるがいつもより鈍いことに。
「……そういえば、遠藤は自炊はしないのか? 金欠なら自炊もアリだと思うぞ」
キタ! そのツッコミを待っていたんだ!
千夏:「……以前、この食堂で異臭騒ぎが起きたのはご存知ですか?」
春見:「いや、私は知らないかも」
影裏:「異臭騒ぎ? なんだそりゃ」
千夏:「皆さんが……寄ってたかって、私の手作りお弁当を片付けました。……そういう、悲しい事件です」
春見:「……なるほどね」
影裏:「まあ、なんだ。俺も料理とか家事全般は苦手だしな……何も言うまい」
春見:「私で良ければ教えるよ? 生憎、和食ばっかりになっちゃうけど……」
千夏:「ぜひお願いします! 私、これでもお料理は好きなんですよ!」
影裏:「向上心があるのはいいことだ。いい嫁さんになるだろうな」
春見:「うん、じゃあ今度一緒にお台所立ってみようか」
千夏:「ありがとうございます、佐倉さん!」
GM:さて、といったところで事態を動かそう。
影裏:おう。
春見:さて。どうなるかな。
GM:君たちのいるUGN日本支部に、緊急招集を告げる警報と放送が流れる!
春見:「……ッ」
影裏:「……招集か。二人とも、今のうちに飯片付けとけ」
千夏:「はいっ」
GM:「呼び出しを告げます。エージェント・影裏 結理、その副官・佐倉 春見、副官補佐・遠藤 千夏は速やかに日本支部長室へと出向してください。繰り返します──」
影裏:「っと、ご指名か。急いだ方が良さそうだ」
弁当をかきこみ、席を立つ。
春見:「そうだね。……行こう」
こちらも席を立つ。
GM:千夏も貰った小鉢を中心にかきこんでから共にするね。
長くなってしまったが、今回は侵蝕が怖いのでシーン継続で日本支部長室だ。──とはいえ、リプレイを書いている今にして思えば、やはりシーンを変えた方が良かったように思える。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます