第5話 サルデルの戦い

 最初に衝突したのは、レムリア軍屯田兵一二〇〇〇とファールス軍一〇〇〇〇。

 兵数はレムリア軍がやや優っている。

 そして一方で士気と練度は……


「……やはりレムリアの歩兵は質が良いな」

「屯田兵は常備軍の予備役だ。その質は遜色ないぞ」


 一瞬は均衡を保った中央歩兵同士の戦いだが……

 それは本当に一瞬だけ。


 すぐにレムリア軍が戦いを優位に進めていく。

 そして……




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▲〇〇〇〇〇▲                   川

  ▲▲▲                     川




 レムリア軍の屯田兵が、ファールス軍の第一戦列を打ち破った。

 ファールス軍の第一戦列は散り散りとなり、両翼へと逃げていく。

 一方でレムリア軍の第一戦列は勢いをそのまま、ファールス軍の第二戦列へと襲い掛かる。



「第二戦列、攻撃の準備を始めろ」

「第二戦列を前へ!!」


 エルキュール、ササン八世はそれぞれ予備兵力の投入準備を開始する。

 そしてついに、レムリア軍の第一戦列とファールス軍の第二戦列が衝突した。


 連戦続きということもあり、レムリア軍の第一戦列の動きはあまり良くない。

 疲労により数と質の差が埋まり、ファールス軍はレムリア軍の進撃を食い止めた。


 ……レムリア軍が予備兵力である第二戦列を投入するまでは。


「第一戦列はそのまま、両翼へ。第二戦列、突撃!」

「……第三戦列へ。攻撃の準備を開始せよ!」







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▲〇〇〇〇〇▲             ▲▲▲▲▲ 川

  ▲▲▲                     川






 レムリア軍第二戦列を構成する屯田兵が、ファールス軍第二戦列を容易く打ち破る。

 これを迎え撃つは、ファールス軍最後の予備戦力である第三戦列。

 指揮するのは、元レムリア貴族。そして八忠将の一人、『盾』のヘレーナだ。


「……しかし、これがレムリア軍とは、信じられません」


 ヘレーナは驚愕しながらも、レムリア軍の猛攻を食い止める。

 『盾』の名の通り、ヘレーナは防衛戦を得意とする。


 加えて……


「腐敗の精霊、『サブナック』よ!」


 自らの精霊(あくま)、サブナックを呼び出した。

 この精霊は腐敗を司る、大悪魔。

 

 射程およそ半径三十メートルの敵の肉体と武具を少しずつ腐らせるという効力を持つ。

 この能力により、レムリア軍の屯田兵は士気を低下させた。


 ヘレーナとファールス軍第三戦列の奮闘により、戦線は一時沈着する。

 ……一時的に。


「さあ! 我が軍の精鋭たちよ!! 最後の一押しだ!!」


 ついにエルキュールが虎の子の、常備軍歩兵で構成された虎の子の第三戦列を戦場へと投入した。

 これを受け止める予備兵力は……ファールス軍にはない。



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▲〇〇〇〇〇▲             ▲▲▲▲▲ 川▽

  ▲▲▲                     川





「……」

「……」


 エルキュール、ササン八世は戦局を見守る。

 そして……


「皇帝陛下!!」

「国王陛下!!」


 エルキュールとササン八世はの元へ、前線の様子を知らせる早馬が掛けてきた。

 二者の早馬は、ほぼ同時に以下のことをそれぞれの君主へと伝えた。


「右翼、ニア将軍より伝令です。『これ以上、右翼戦線の維持は困難。撤退を進言する』以上です!!」

「左翼、クロセル将軍より伝令です。『レムリア軍右翼への強襲中。そのまま攻勢に移る』以上です!!」


















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▲〇〇〇〇〇▲          ▽▲ ▲ ▲ ▲ 川 

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                        ▲▽川






「全軍、撤退!!」

「全軍、攻勢開始!!」


 エルキュール、ササン八世は全軍へ号令をかけた。





 斯くして、勝敗は決した。

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