第4話 セシリアの反攻(抗) 結

 「私は思うのですよ……本当にお金持ちは天国に行くのが難しいのでしょうか?」

 「……聖書にはそう書いてあるぞ」


 次のノヴァ・レムリア公会議で発表する骨子をまとめ終えた後、セシリアはそんなことを言い出した。

 エルキュールはこのむっつりスケベは急に何を言い出すのかと、困惑の表情を浮かべる。


 「いえ、ですから……労働は美徳ではありませんか。でも労働をすればお金が手に入るでしょう? 私は思うのですが、お金を稼ぐのはむしろ良いことだと思うのです。だってその人が己の才覚と努力で勝ち得たお金じゃないですか。それなのに天国に行けないなんて、おかしいですよ」


 「急に何を言い出すんだ」


 エルキュールがそう言うと、セシリアは身を乗り出して説明を始めた。


 「天国に行けるか、否かはどれだけ正しく厚い信仰心を持っているかじゃないですか。でも、信仰心を示すのは何も神様にただ祈るだけだとは限らないと思うのです。主は私たちに運命という試練をお与えになっています。それに真摯に向き合うことが天国への道だと思うのです」


 「まあもっともなご意見だな。それがさっきの話にどう結び付くんだ?」


 セシリアは本当に、心の底から楽しそうに言った。


 「ですから、職業もまた運命の一つではありませんか。例えば農地を耕したり、便利な道具を作ったり、人に物を売ったり、あとエルキュール様のような君主も、税金を集める官僚も、異教徒と戦う軍人も、全部立派な職業です。その主から与えられた職業、えっと……」


 「天職なんてどうだ?」


 エルキュールが言い換えの言葉を提案すると、セシリアは満面の笑みを浮かべた。


 「天職! 良いですね、それにしましょう。その天職を受け入れ、しっかりと働いた者が天国に行くことができると思うのです。そして働けば当然、お金は溜まるじゃないですか」


 セシリアの言葉を聞き、エルキュールは思わず苦笑いを浮かべた。

 毎日しっかりと働けば、お金は溜まるものだと思っているところは可愛らしい。

 そういうところは未だに世間知らずだ。

 もっともセシリアが、働いても働いてもお金が溜まらないような下層民の生活など知る機会などないし、想像もできないのは無理もない。


 「つまり金持ちほど天国に行けるということか?」

 「いえ、違います。お金が溜まるというのは副次効果ですよ。大事なのはどれだけ真面目に、しっかりと労働を、努力をしたかです」

 「つまり必死に努力したが、適わなかった下層民は天国に行けると?」

 「主がその努力を御認めになるのであれば」


 その辺りは一応、考えているようだ。

 まあ世の中には生まれながらの金持ちもいるので、当たり前と言えば当たり前だが。


 「じゃあ職業が無い人間はどうだ? 何らかの身体障害で働くのが難しい人は?」

 「大事なのは直向きに努力をすることです。その努力が正しいものであるならば、主はきっとその方を天国に導いてくれます」


 努力、努力、努力。

 何だか暑苦しい響きである。

 エルキュールとしてはもっと肩の力を抜いて生活したいのだが。


 「じゃあセシリアは聖書に書いてあることが間違いだと?」


 「まさか、そのようなことは思いません。聖書に書かれていることは全て、正しいことです。但し……それを人が正しく受け取れるかどうかは別の話です」


 「つまり解釈次第ということか」


 聖書は神の言葉が書かれた本だ。

 しかし聖書を書いたのは神ではなく、人間であり……当然その内容には過不足が生じる。

 そもそも神の偉大なる言葉の全てを、正しく聖書に記載できるほど人間は優れた存在ではない。


 故に大事なのは聖書の中から、神の意図を察することである。

 

 というのがメシア教の原則的な考え方だ。

 複数の宗派が生まれてしまうのは、その解釈方法が異なるからである。


 そのためセシリアの主張も解釈次第ではどうにでもある。

 というより、少なくともセシリアは「お金持ちでも天国に行ける」と解釈しているのだ。

 

 「メシア教は清貧を貴ぶはずだが、そこは矛盾しないのか?」


 メシア教は清貧を貴ぶ。

 だがセシリアの考えはそれを真っ向から否定しているように思われる。


 エルキュールがそれを指摘すると……


 「お金持ちであることと清貧であることは矛盾しないと思います。過度な贅沢をせず、節制して生活をすればお金持ちであっても、清貧だと思いません?」


 「まあ、それもそうだが……そうなるとお金だけがひたすら溜まらないか?」


 お金は使って初めて意味を持つ。

 ただの貯蓄には何の意味もない。


 「得た利益を一人で抱え込むのが良くないと思うのです。例えばですね……お給料が銀貨十枚だったところを、十二枚に上げれば、そのお金持ちの下で働いている方々の生活は豊かになるじゃありませんか」


 「まあ確かに」


 「そうやってお金のない人々に間接的に還元するのは無論、孤児院を経営したり、施しをしたり、そういう直接的な還元もまた、重要だと思うのですよ。そういうことって、お金持ちしかできないじゃないですか」


 「要するに教会に寄付をすれば罪が償えると?」


 「教会を通しても、通さなくても問題はないと思いますよ」


 但し、教会がもっとも正しく運用できる、そうでなくてはならないし、そうなるようにするとセシリアは付け足した。


 「大昔のレムリア人のお金持ちは、積極的に公共事業にお金を使ったという話じゃないですか。そういう姿勢が必要だと思うのです」

 「なるほどね」


 どうやらエルキュールがセシリアに送っていた本が、セシリアの思想に多大な影響を与えてしまったようだ。

 まあ別に悪い影響でも無さそうなので、特に問題はない。


 「と、ところで……どうでしょうか? その、エルキュール様は賛同してくださいますか?」

 「良いと思うぞ。公会議で盛りこんだらどうだ? 俺と君と、あとルーカノス、クロノスの四人が賛成に周れば異議を唱える奴はいないだろう」


 教義そのものの根本的な見直しを図り、腐敗を撲滅し、信者からの信仰を取り戻すという狙いの上では、こういう商工業者から支持を集められそうな教義を盛り込むのは悪い話ではない。


 何より商工業を保護するエルキュールの政策にも合致する。


 「他にはないのか?」

 「他に、ですか?」

 「いや、君のことだから他にも何か変えたいことがあるんじゃないかと思ってね」


 エルキュールが聞くと、セシリアは少し悩んでから……


 「受け入れて頂けるか分からないんですけど……」

 「ふむふむ」

 「異端審問に於ける、拷問を禁止にしようと思うのです。思うに、冤罪の温床となっているような気がします」

 「なるほど、それは確かに難しそうだ」


 異端審問に限らないが、この世界では自白を迫るために拷問をすることは当たり前に行われている。

 こういうと前時代的に感じるが、それが現代日本の価値観から見ると……であり、この世界では拷問によって自白を得るやり方は非常に先進的なのだ。


 というのも、決闘裁判や神明裁判などの証拠も何もないようなやり方に比べれば、『自白』を得るというやり方はかなり証拠主義的と言えるからだ。


 ただ拷問というやり方はあまり効果がある方法とはいえない。

 結局、拷問で話した内容が正しいかどうかは分からないからだ。

 苦しみから逃れるために嘘を言うケースがあることを考えると、自白を強要するのは賢いやり方とはいえない。


 「やっぱり実体験からか?」

 「ええ、まあ……例えエルキュール様に助けて頂けなくても、自白などしなかったなどと言い切るほどの自信は正直ありません。エルキュール様に助けて頂けなければ、何をされたか……」


 セシリアは両手で体を抱いた。

 未だにトラウマになっているようだ。


 「実体験を真摯に話せば良い。姫巫女メディウムの実体験だぞ?」

 「……皆さん、受け入れてくれますかね?」

 「俺は支持するよ」


 エルキュール自身もあまり拷問の効果は信用していない。

 捕虜から情報を聞き出し、参考程度に止めておく……というならばともかく、裁判の資料に拷問で聞きだした自白を使用するのは冤罪を招きかねない。


 まあ拷問が手っ取り早く処理できる方法なのは確かなのだが。


 そもそもアレクティア勅令で異教・異端の信仰が認められた以上、異端審問の対象となるのは精々一部の聖職者程度である。

 それくらい丁寧にやれよというのがエルキュールの考えだ。


 「あと、これは公会議にはあまり関係ないのですが……神学を学べるところを作りたいんです。やっぱり質の悪い聖職者が多いのは、教育の質に隔たりがあるからだと思うのです」

 「つまり神学大学の設置、ということか。……まあ土地と資金は用意しても良い」

 「資金まで用意してくださるのですか?」


 セシリアの問いにエルキュールは頷いた。

 良質の人材を欲しているのは、何もセシリアたち教会側だけではない。

 エルキュールも官僚制強化のために質の高い人材を欲しているのだ。


 「神学以外にも、法学と医学も設置しよう。神学の教授は君が見つけてきてくれ、法学と医学はこちらで用意する」

 

 法学は優秀な官僚から、医学はヒュパティアの弟子の中から医学に精通し、かつメシア教徒である者を連れて来ればいい。


 と、そこまで考えた上でエルキュールは一応『神学』を柱とする大学にヒュパティアと愉快な仲間たちを入れるのはメシア教的に問題無いのか、疑問を抱く。

 そのことについてエルキュールがセシリアに尋ねると……


 「むしろ古典キリス科学は積極的に教えるべきです……とはいえ、さすがにヒュパティアさんを直接お招きするといろいろと反発がありそうなので、メシア教徒のキリス古典哲学に詳しいお方をお招きするという形が一番良いと思います」


 「うーん、まあ聖修道会辺りを探せばいそうだな……」


 エルキュールは呟いた。


 古代レムリア帝国は世界でも有数の、実学に長けた国とされており、特にその土木建築技術は現代でも受け継がれている。

 しかし古代レムリア帝国の高い技術力は、古代レムリア人が生み出したわけではない。


 そもそも野蛮で、戦争と性行為以外に能がない脳筋種族の長耳族エルフに学問の発展など期待する方があほらしい話である。

 古代レムリア帝国の文化や科学、技術というのはその全てが古代キリス人の模倣に過ぎない。


 長耳族エルフは軍事的には人族、特にキリス人を征服したと言えるが、文化という面では逆に征服されてしまったともいえる。


 さて、そんな古代キリス人の古典文化や自然哲学、その他医学や数学などの科学に関する本の多くは現在でもレムリア帝国に保存されている。

 アレクティア図書館などはその集大成である。


 ただ保存されていることと、活かされていることは若干話が異なる。


 レムリア帝国はお世辞にも識字率が高いとは言えない。

 現代とは単語の意味や文法の異なる古典キリス語となると、尚更読めない。


 大昔の異教徒の書いた、よく分からない字で書かれた謎の悪魔の書。

 というのがレムリア帝国に於ける時の読み書きができない、教養のない一般大衆の認識であろう。


 事実、アレクティア図書館で大きなキャンプファイヤ―をしようとした者たちは頭のおかしな総主教と、それに率いられた狂信的・無教養な信者たちである。


 とはいえ、これはあくまでそれらを読むことができない無教養の「一般大衆」の反応である。

 つまり教養人たちの反応は異なる。


 レムリア帝国に於ける教養人というのは、政治を牽引する貴族と宗教を牽引する聖職者である。

 

 この貴族と聖職者のうち、極めて酔狂な暇人だけが古典キリス語を習おうと考える。

 そういうもののうち、さらにごく限られた変人が古典キリス人の自然哲学などを研究する。


 そしてそういう暇人というのは、大概修道院に引き籠っている。


 修道院、修道会というものは世俗を離れてひたすら信仰の道を歩みたいという、悪い言い方をすれば暇人・・の巣窟なので、古典キリス語の書籍を読もうとする暇人がいるのだ。


 そして修道院や修道会のうち、兄弟修道会は托鉢に、開墾修道会は農業に忙しい……


 となると、修道会の中でも特に暇で、財産だけは持っている、エルキュールの大嫌いな聖修道会にそういう暇人が集まるのは自明である。


 兄弟修道会や開墾修道会が信仰に対して厳しいのに対し、聖修道会は悪い言い方をすれば堕落、世俗化しているため、(自分たちの行動についてだけは)少し甘く、異教の本を読む同僚の行動に目を瞑るような土壌がある、というのも一面としてある。


 本来、メシア教に強い信仰を有しているはずの修道士たちが、逆に異教徒の本の保存に一役買っているというのは大変、皮肉な話である。


 「だが俺は聖修道会とはあまり関係が……」

 「あ、それについては私がすでに探してありますので、大丈夫です」

 「そ、そうか……」


 拳をぎゅっと握り締めて、笑顔を浮かべるセシリア。

 フットワークの軽い行動派姫巫女メディウム様に、エルキュールは苦笑いを浮かべる。


 「それと、神学大学とは別に古典キリス書籍の保存・翻訳・研究組織を作りたいのですが、ご協力して頂けませんか?」

 「どういうことだ?」

 「現代キリス語と、現代レムリア語に翻訳するのです! 今まで一人一人が個々に、個人的にやっていた事業を一元化した方が効率的ではないですか」

 

 なるほど……とエルキュールは頷いた。

 エルキュールはヒュパティアらにアレクティア図書館に保管されている古典キリス語を含む、その他諸々の古代の書籍の複製を命じ、それを支持してきた。

 

 太古の書籍は石板かパピルスのどちらかに記されており、前者は持ち運びしにくく、後者は虫などに被害に遭う。

 写本を作ることで後世に知識を伝達し、ついでに自分が暇な時に読むというのがエルキュールの目的であった。


 だが保存はともかく、翻訳、そして研究まではやっていない。

 翻訳については読みたければ古典キリス語を習えば良いと思っていたからであり、研究についてはヒュパティアがやっているから良いじゃない、と考えていたからである。


 「確かに異教の本ではありますが、悪魔の本というのはさすがに偏見です。それを払拭するにはより多くの人々が読めるようにするべきなのです。それに古典キリス人の自然哲学には神学に応用できるものがあります。メシア教的視点からの研究が必要です!」

 「お、おう……そうか。ま、まあ、良いんじゃないか? 名前と場所を貸すくらいなら、構わないさ」


 研究組織と言えば聞こえは良いが、実際はセシリアをリーダーとした古典キリス科学の同好会、サークルみたいなものであろう……と考えたエルキュールはあっさりと許可を出す。

 後にこれはエルキュールの予想を上回るほどの巨大な組織になってしまうのだが、それはまた別のお話である。


 「可能であれば、アレクティア大学の方とも連携して自然科学の研究をですね……どうかしましたか?」 

 「いや、随分と科学研究に熱心だと思ってね……」


 セシリアに対し、自然哲学、古典キリス科学を吹き込んだのはエルキュールである。

 だがここまで熱心になるとは、エルキュールは考えていなかった。

 

 「世界をお作りになられたのは主なのです。つまり主のお作りになられた世界の構造を読み解くことは、即ち主のご意志を読み解くことです。それは私たち、神に仕える者の使命だと思いませんか?」

 「いや、思わないことはないが……うん、頑張ってくれ。応援しているよ」


 狂信的なまでに煌めくセシリアの瞳に、エルキュールは若干ドン引きしながらエールを送る。

 科学者は大なり小なり知的探求心を持つというが、セシリアは知的探求心というよりは強迫的探求心というべきレベルのものである。


 エルキュールの語る蘊蓄に対して、素直に喜んでいた可愛らしかった頃のセシリアはどこかへ消えてしまったらしい。


 (しかし俺やセシリアが生きている間にはそこまで発展することはないだろうが、いずれある程度の段階になると科学によって聖書の内容が否定される事態に……いや、解釈すれば乗り切れるか?)


 元々、聖書はガバガバな代物であり、現状の正統派の主張する『三位一体説』すらも解釈に解釈を塗り重ねた理論だ。


 矛盾の塊と言える聖書に、新たな矛盾が増えた程度、どうということはない。最初は反発を招くであろうが、いずれは解釈と屁理屈を捏ね繰り回して「聖書の記述に合致している」と言い張ることだろう。


 進化論とて、「神がそういう風に進化するように、世界を作り、導いたのだから聖書の天地創造は科学と矛盾していない。やはり聖書は正しい、聖書凄い、聖書万歳!」と言い張ればセーフになるはずだ。

 

 「ところでエルキュール様、話は変わるのですが……いえ、全く関係ないわけでもないんですけど、小麦法の廃止をするというのは本当ですか?」

 「うん? ああ、本当だぞ。あれは悪法だからな」


 小麦法。

 ノヴァ・レムリアの下層市民に一定の小麦を無料で給付する政策であり、エルキュールの父祖が帝政を始めた頃より存在する、歴史の長い法律だ。


 エルキュールはそれを廃止することを決めていて、すでに準備が始まっている。

 

 「悪法……なんですか? 良い法律だと思うのですが」

 「ふむ、実態を知らないのか。少し教えてやろう……セシリア、人が生きていくのに最低限必要なものは何だ?」

 「えっと、食べ物と服と、雨風を凌げる場所、ですかね?」  

 「そうだ、分かっているじゃないか。つまり小麦だけでは人は生きていけない」


 小麦法で給付される小麦は生のままだ。

 食べるのにも一度パンに加工する必要があり、パン屋に手数料として一部の小麦を取られてしまう。

 果たして下層民の手元に残るのはどれほどか。


 「大概の下層民は貰った小麦を全て現金に換えて、それを生活費に充てているが……実に無駄だな。金、銀で税金を集め、それを小麦に変えて配り、その小麦を再び金、銀に変える……だったら最初から金、銀を配ってしまえという話だ。しかも小麦は投機の対象になりやすく、価格が乱高下しやすい。小麦法は弱者救済には足りず、そして財政も圧迫する悪法だ」


 「……では炊き出しとかはあまり良く無いのでしょうか?」


 「炊き出しは良いんじゃないか? 少なくとも小麦法よりマシだな」


 炊き出しで出された食べ物はそのまま食べれる。

 その場の命を繋げることはできるだろう。


 「小麦法廃止の代わりに職業訓練施設を作るつもりだ。衣食住をしっかりと保証する素晴らしい、アットホームな施設になる予定だ」


 官僚たちから上がって来た法案を確認したエルキュールは「俺は絶対に入りたくない」と思いながらも「入るのは俺じゃないし良いか」の精神で判を押した。


 一応、卒業する頃にはそれなりの技術が身につくようなプログラムにはなっている。

 ノヴァ・レムリアは全体的に人手不足なので、それなりの技術があればそれなりの生活が送れる。


 「魚を与えるよりも魚の釣り方を教えろというやつですね!」

 「うん、まあ……そういうことになるのかな?」


 どちらかというと、スラム街にたむろしている犯罪者予備軍をまとめて施設に放り込んで更生させるような、恐ろしい施設なのだが

 

 「……まあ聖俗両方にも共通してやることはあるわけだし、その辺りは互いに協力してやれたら嬉しいね。……貨幣改鋳の件、頼むぞ?」

 「はい、任せてください。説得してみます」


 セシリアなら貨幣改鋳に非協力的な聖職者を徹底的にロジカルにハラスメントしてくれるに違いない。

 エルキュールは期待と若干の同情を抱いた。

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