第15話 水を与えよ!魔法少女!
「これだけ干からびてしまっていては、普通の水に浸けるだけではもうダメじゃの。テリースの村で流れている聖水を運んでくるか、もしくは…そうじゃバニラ、おぬし水系の魔法は使えるか?」
マルルが手にしている干からびたスルメイカを眺めながら、おばあちゃんはバニラに向かってそう言った。
「ごめんなさい。あいにく私は氷系魔法が得意な種族だから…水系魔法を唱える先から氷に変わってしまうから、
そう言って呆れた表情となるバニラ。
その眼差しが何だかとても痛い。
「マルルにはまだ教えてすらないからの。」
そう言って腰に手を当てて、何故か自慢気に答えるおばあちゃん。
「じゃあ今からあなたがマルルちゃんに教えてあげるといいんじゃない?マルルちゃん、もともと素質はいいんだし。すぐに覚えられると思うわ。魔法を覚えるには、イメージ力が大切だからまずは誰かがお手本を見せてあげないと…」
そう言って口元に手をやりながら提案するバニラ。
「残念ながらワシの魔法の力などとっくに失われておってな。マルルのフワリやポワロンだって、『家事を楽にしたい!』というマルルの強い意志から自然に生まれた魔法じゃからの。」
そんな主婦のアイディア商品みたいなノリで魔法を生み出していたのか。
バニラの顔がますます険しくなる。
「じゃあ、マルルちゃんが強くこのスルメの事を助けたいって願えば…」
「…ごめん。バニラちゃん。私、別にこのスルメの事を助けたいだなんて全然思わない。」
あっさりとそう言ってのけるマルル。
「…仕方がない。ここで話し合っててもしょうがないわ。とりあえずマルルちゃんの家まで戻りましょ。もしかしたら水道水に3日くらい浸けてたら戻るかもしれないし、お腹が空いたらもう食べちゃえばいいんだし。」
そう言ってため息を一つ残すと、再びコンパクトを取り出して時空の歪みを開くバニラ。
…この子はもう完全にこのマジック・ファミリアの事を、酒のつまみか何かと勘違いしているらしい。
とりあえず、マルル達はバニラの開いた時空の歪みを通って、マルルの家の前まで戻ってきた。
するとそこにいたのは…
「…あら、随分と遅かったじゃない。」
多数のデス・ピザエールを従えて、マルルの家の屋根の上で不敵な笑みを浮かべるパンドラの姿だった。
「…コイツの事、忘れてた――――!!」
ここで初めて、マルルとバニラとアイスとババアの声がハモった。
~次回、魔法少女 まじかる・ぱいんっ!
『戦闘!打倒パンドラ』
でお会いいたしましょう!
梅雨があけても、まじかる・まじかるンっっ
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