第9話 闇がはびこる理由。


~前回までのあらすじ~


おばあちゃんが現役の魔法少女時代にデス・ピザエールを封印したのが今からちょうど1000年前…。おばあちゃんの話では、このデス・ピザエールの封印は1000年しかもたないという話だったのに、バニラとアイスの住むラスタ・クリームの街ではすでに多数のデス・ピザエールがはびこっていたという。…もしやおばあちゃんがボケてしまったのか!?今後のデス・ピザエール達の動きと、介護の必要性を抱えながら、マルルは密かに不安をおぼえていた。



◇◇◇



「ねぇ、おばあちゃん。おばあちゃんは今朝、『デス・ピザエール達を封印したのは1000年前で、封印は1000年しかもたない』って話をしてくれたよね?なのに何故バニラやアイスの街では、すでにデス・ピザエールがはびこっていたの?」


マルルのそんな突然の問いかけに、おばあちゃんはアゴに手をやりながら、妙に真剣な表情で考え込んでいた。


二匹のデス・ピザエールを撃破した後、私とバニラは魔法少女の変身から解き放たれ、すっかり普段の服装へと戻っている。


どうやら戦闘が終わり、周囲にデス・ピザエールの気配がなくなったら、自然に変身が解かれる仕組みらしい。


…なんでそんな便利な自動機能があるのに、私が変身する時だけ自分の手でいちいち着替えにゃ、ならんのじゃいっっ!!


やはりバニラとの待遇の格差に不満を抱えていたマルルは、腹の底からグツグツと沸き上がる苛立ちを必死にこらえながらおばあちゃんの返事を待っていた。


バニラとアイスも不安そうな表情で見守っている。


「…実はワシもさっきからその事がひっかかっていてな。確かに今日がデス・ピザエールを封印してちょうど1000年目で間違いないがないはずじゃ。」


「おばあちゃんが日にちを勘違いしてるって事は…ない?」


不安そうにおばあちゃんの顔を覗き込むマルルに向かって、おばあちゃんはこう答えた。


「日にちを間違えてるという事はまずないな。だてに1000年間、ひたすらカレンダーに印をつけてきたわけじゃあない。」


自信満々にそう話をするおばあちゃんの返答に、マルルは思わず驚きの声をあげた。


「あのカレンダーの印って、デス・ピザエールの封印日って意味だったの!?…てっきりおばあちゃんの誕生日かと思って、私毎年プレゼント渡してたのにぃっっ!!」


驚きのあまり声を荒げてしまったマルルの前でおばあちゃんも首をかしげながら話すおばあちゃん。


「ワシも、な~んでこの子は毎年毎年あの忌々しいデス・ピザエールの封印日に、モジモジしながらプレゼントを持ってくるのかが不思議でな。一時期この子はサイコパスか何かなんじゃないかと思って、本気で心配をしておったわ。」


そう言って何やら懐かしそうに、しみじみと空を見上げるおばあちゃん。


「じゃあ言ってよ!誕生日じゃあないって!めちゃくちゃ恥ずかしいじゃないっっ!!」


「…いやぁ~ワシもてっきり『おばあちゃん、この世界をデス・ピザエールから救ってくれてありがとう。魔法少女の呪縛から解き放たれたこの日が、おばあちゃんにとっての本当の誕生日よ』って意味かと思っててな。」


「そんな都合のいい解釈があるかぁぁぁぁッッ!!」


マルルのそう悲痛にツっこむ声が、森の奥へとこだました。


「とにかく、今は何で予定よりも早くデス・ピザエールが人間界に来たのかを、調べてみないといけないね。」


そう言ってこの二人のやり取りを不安そうに眺めていたアイスが、小さな羽根を必死にはばたかせながらそう言った。


「…一人心当たりのある人物がいる。まずはソイツの元へと行こう。」


そう眼光鋭く呟いたおばあちゃんの言葉に、マルル達は妙な緊張を抱えながら、その者のいる場所へとついて行く事にしたのだった。



~次回、


『魔法少女 まじかる・ぱいんっ!』


「謎の少女 パンドラ」


でお会いいたしましょう!


不定期更新だけど、

まじかる・まじかるン!!

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