第8話 魔法少女のコンビネーション


~前回までのあらすじ~


『新たな魔法少女、バニラと話してたら

いきなり草むらから2匹のデス・ピザエールが飛び出してきた!聞けばデス・ピザエールは家の軒下や、台所のシンクの下からも出てくるらしいから、やはり火の中、水の中、森の中は十分気をつけなきゃいけないわね!…って事で、とりあえず戦闘開始っっ!!』




◇◇◇




「しかし、ワシがデス・ピザエールを封印して今日でちょうど1000年目だというのに、ラスタ・クリームの街ではすでにデス・ピザエールがはびこっていただと…?

これは一体…。」


珍しく深刻そうな表情でそう考え込んでいるババアの顔は、それはもう一層シッワシワとなってしまっていた。


そんなおばあちゃんをよそに二匹のデス・ピザエールと対峙するマルルとバニラ。


ジリジリとした緊迫する空気の中、

先に攻撃を仕掛けたのはデス・ピザエールの方であった。


鋭い爪を構えながら、ものすごい速さでこちらへと向かってくるデス・ピザエール。


その瞬間…


『フワリクション!!』


呪文を唱えたバニラのステッキから激しい突風が生まれた。突風をまともにくらい、遠くへと吹き飛ばされるデス・ピザエール。その体も無数の傷で傷ついている。



キシャ―――――――――――!!



そんな仲間の姿を見て、激昂したもう一匹のデス・ピザエールがバニラに向かって飛びかかろうとしてきた。


『ポワロンダ!!』



そう唱えた彼女のステッキからは、今度は燃え盛る炎が生まれ、一匹のデス・ピザエールを見事に焼きつくした。


その一連のバニラの戦い方を見て、マルルとおばあちゃんはただただ呆然としているだけであった。


そんな二人の様子を見て、

バニラはハッと何かに気がついた。


「ご…ごごご…ごめんなさい…!私本当は、氷系魔法が得意なのに、調子に乗って炎とか風とか出しちゃったから、威力が小さすぎてビックリしちゃったよね…」


そう言って口元に手を当てつつ、

何やらオドオドしはじめるバニラ。



とんでもございませ――――――――ん!!

もうむしろこのまま一人で戦っていただいてもいいですかね――――――――――!?



この時、マルルとおばあちゃんの心の中は、

そんな気持ちでいっぱいだった。



「ギ…ギギギ…」



そうこうしている間に、先程バニラが風で吹き飛ばしたはずのデス・ピザエールが、軋むような鳴き声をあげながらゆっくりと立ち上がってきた。


「今よ!マルルちゃん!

早くトドメを!!」



そう言ってマルルに指示を出すバニラ。



「えぇぇ―――――――――!?

あんなすごい魔法見せられた後じゃ

無理だよ!絶対無理無理無理無理…!!」


慌てて首をぶんぶんと横に振りながら、

ボソボソとおばあちゃんに向かって

話すマルル。


「確かに先程バニラが使った魔法は、お前が唯一知っている【フワリ】と【ポワロン】の上級魔法!あれだけの威力で恥ずかしがっている女の前でそんなモノ見せたら、高校の授業で『かけ算分かりません』って言うようなモンじゃぞ!!」


マルルに合わせておばあちゃんも何やら

ボソボソと言っている。


「えっと…何かあったのですか…?」


そんな二人の様子を心配そうに眺めるバニラの視線に気づいたおばあちゃんが話を続けた。


「そうじゃ!マルル!必殺技を出すのじゃ!やはりトドメといったら、必殺技じゃからの!」


「そ…そうよね!やっぱり必殺技がいいよね!敵も死ぬときはド派手な方がいいモンね!そうするわ!」


そう言ってマルルが胸元で魔法のステッキを構えた瞬間、傷ついたデス・ピザエールが

こちらへと向かって来た。


マルルのステッキに眩い光が集まり出し、

そしてコロンと一つのパイナップルが

地面に転がった。


糖度は10%以下といったトコロか。

まだまだ見た目も青い。


マルルはおもむろに両手でそのパインを拾い上げると、思いっきりデス・ピザエールの頭を殴った。



ちゅど――――――――――ん!!




爆発の威力は小さいが、やはり熟れていないパインは硬い。マルルの攻撃によって、デス・ピザエールは見事に塵へと化したのである。


デス・ピザエールを倒し、自慢気な表情でポーズを取るマルルに向かって、バニラは驚きの表情のままこう尋ねた。


「すごい…マルルちゃん…。

これってなんていう打撃攻撃なの…?」


「…って、もはや魔法って事すら

認めてもらえねぇのかよ!?」




~次回、魔法少女まじかる・ぱいん!

「闇がはびこる理由」でお会いいたしましょう。いつもあなたとまじかる、まじかるン♪

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