第7話 戦え!魔法少女!


~前回までのあらすじ~


自分だって魔法少女のはずなのに、

ひょいと出てきた新たな魔法少女に

魔法少女らしすぎるキラッキラで

完璧な変身シーンをとくとごらんと

言わんばかりに見せつけられたマルルは

はらわたが煮えくり返るような思いで

苦虫を潰したような表情のまま

苦汁を舐めまわすような思いで

うずまいていた。



◇◇◇



「おぬし達は…?」


いまだポーズを決めたままでいる

銀髪の魔法少女バニラとコウモリに向かって

ババアはしぼりだすような声でそう尋ねた。


「私達は北の街、ラスタ・クリームから来た魔法少女よ。今、私達の街では魔族デス・ピザエールが大量に街にはびこっていて、もう私一人の力ではどうにもならない状況になってきてるの…」


『そこで、君のような新たな魔法少女を探して街を救う手助けをしてもらおうと思ったのさ。』


そう言ってマルルに向かって

ウインクをするコウモリ。


そんなチャラいコウモリの行動を

マルルは何事もなかったかのように

あっさりと無視をした。


「ところでこの村では今

デス・ピザエールは

どのくらい出ている状況なの…?」


深刻そうな表情で尋ねるバニラに対して

マルルはキョトンとした表情で人差し指を自分の頬に当てながら答えた。


「えっと…

とりあえず今朝ウチの戸棚から一匹…」


「えっ!?」


『本当にそれだけなのかい!?』


マルルの言葉が終わらぬ内に

同時に驚きの声をあげる二人。


「う…うん。

ちなみに今日出たのが最初だけど…。」


「信じられない!ウチの街では戸棚の中どころか、キッチンのシンクとかお風呂の排水溝とか、ちょっとした物陰からひょっこりと出てくるというのにっっ!!」


そう言っておぞましそうに身震いをしながら語るバニラ。


「…そういえば、ワシが現役の魔法少女じゃった頃にも、石の裏をひっくり返せばデス・ピザエール、家の軒下をみればデス・ピザエール、紫陽花の花の下にもデス・ピザエールみたいなカンジで、どこかしらでも見かけたモンじゃがの。」


そうしみじみ答えるおばあちゃん。


そんな二人の会話を聞いて

何だかデス・ピザエールって

ゴキぶぅかダンゴムシみたいなんだなと

マルルは勝手に思っていた。


「一体どういう事なのかしら…?」


眉をひそめて

小首をかしげるバニラに対して


『まだこの村には

デス・ピザエールの魔の手が

及んでないのかもしれないね』


そう言って小さく羽根を羽ばたかせつつ

返すコウモリ。


「そんなこと言われても、

デス・ピザエールなんて

見たのも聞いたのも

今日が初めてなんだし…」



二人のそんな意外すぎる反応に

困った表情となってるマルルの目の前で



…ガサ…ガサガサ…



草木が大きく揺れ動き…

そしてそのまま二匹のデス・ピザエールが

ひょっこりと現れた。



『キヒャ―――――ッッ!!』



すぐさまマルルに向かって威嚇をはじめる

デス・ピザエール達。



「えぇ!?

まぁたいきなり戦闘開始っっ!?」



マルルの悲痛な叫びが

これまた深い森の中をこだました。




次回、魔法少女まじかる・ぱいんっ!!



『魔法少女のコンビネーション』


でお会いいたしましょう!


明日も必ず、

まじかる・まじかるンっっ!!



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る