第10話何気ない朝の日常(新キャラ登場ですね)

「ふぁ〜あ、今日も学校か。もっと布団の中に居たかったな」

 由紀は「んー」と背伸びをしながら、学校に向かう。

 春の陽気が眠気を誘う。朝の太陽の暖かさと眩しさが由紀の目を><(ばつてん)とさせる。


 学校の通学路、他の学生が通学しているのにも関わらず、ゆんの姿だけが一向に見えない。


「参ったな。昨日は遅くなっちゃったし、ゆん、今日は遅刻かな?」


 橋の上でゆんを待っているのだけど、来る気配がない。


「んー。仕方ない。行くか、ゆん……達者でな」


 由紀は橋を渡り、学校へ向かう。


「お、由紀じゃん、今日は相方居ないの?」

 聞きなれない声が由紀の後ろから聞こえてきた。


「んー。宮内さん?だっけ?今日は珍しく遅いんだね」


「同じクラスなんだから、名前ぐらい覚えててよ。プンプン」

 彼女は宮内悠(みやうちゆう)、宮内釣具店の娘さん。黒髪に髪を腰まで伸ばしている。頭の上のアホ毛がぴょんとはねている。どうやったら、ここまで器用にアホ毛を跳ねることが出来るのかと、いつも気になる。

 顔も整っていて、美人だと思う。時折、学校内外の男子から告白やラブレターを貰ってる噂を聞くが、本当だろうか。


「今日は委員長の仕事が無いんだよ。いつもだったら、担任に頼まれる仕事が色々とあるんだけどね」


「ふーん。大変だね。あ、そうそう、宮内さんのお店ってセールいつなの?ワームと針が欲しいなって思っててね」


 ゆっくりと歩きながら、学校までの道のりを進む。悠は、顎に手を置きながら「うーん」と考え込む。

「いつだったけ?お父さんが近々始まるって言ってた気がするよ」


「そっか、悠も委員長で忙しいし、店のことあまり知らないのも仕方ないか……」


 由紀はため息交じりの息を吐いた。悠はニコリと笑みを見せる。

「そうだ。お父さんに連絡してみる。分かったらまた言うわ」


「ありがとう。それじゃ心待ちにして待ってる」


「心得たわ。待っててね」


 由紀はニコリと笑みを浮かべながら、頭を一回下げた。

 すると、後ろから聞き覚えの声が聞こえてくる。昨日も聞いた声だったからすぐに分かった。


「由紀ちゃん、ゆーーーーーきーーーちゃーーーーん。待ってよ!」


 由紀は後ろを振り向くと、すでに汗まみれになっているゆんの姿があった。

 悠は「ふふ」と笑いながら、

「ゆんちゃん、遅いわよ。もう少しで遅刻だよ」


「えへへ、委員長、おはよう」


「おはよう」

 ゆんは悠にぺこりと会釈する。それに続いて悠もぺこりと同じように会釈をした。

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