意見交換の場
フロリダ州 フローラの別荘 二〇一五年七月六日 午後一一時〇〇分
エリノアとアルバートへの事情聴取を終えたダグラスとレベッカをはじめ、香澄たちの間にも緊迫した空気が漂っている。誰もが口にはしないものの、心の中では“この中にエドガーを殺害した犯人がいる”と思っている。
ここで一度状況を整理したいと考えたレベッカとダグラスは、先ほど事情聴取を行った部屋へと戻る。その際に“かすみ、ジェニー。ちょっと部屋へ来てくれる? さっきあなたたちへ質問し忘れたことがあったから”とレベッカが伝える。それを聞いた香澄は席を立ちあがり、ダグラスとレベッカが待つ部屋へと向かう。
香澄とジェニファーへ“聞き忘れたことがある”と言ったレベッカだが、これも彼女を呼び出すための口実。そして犯人はエリノアとアルバートの、どちらかであることは間違いない。そこで香澄とジェニファーを呼びだしている間、二人の監視役をフローラに任せたダグラスとレベッカ。その際に万が一のことを考え、ダグラスは自分が普段使用している拳銃をフローラに託す。
口実を作り香澄とジェニファーを呼び出したダグラスとレベッカは、エリノアとアルバートのアリバイをそのまま伝えた。ジェニファーの反応は予想通りで、二人の話を聞いても困惑してしまう。
誰もが困惑した顔を浮かべている中で香澄だけは様子が異なり、ダグラスとレベッカの会話から何かを発見したようだ。そして自分が感じた疑問を、彼らへ説明する香澄。
「――というわけなんです。だから私の見解では、犯人は〇〇で間違いないと思います!」
どうやら香澄には毒を混入した犯人、つまり『ルティアNO.Ⅳ』がエリノアとアルバートのどちらであるか確信がある模様。
「僕もカスミと同じ意見かな。だけど現時点ではまだ〇〇が犯人だと断定する、確証がないよ。……やっぱり警察が到着するのを待つかい?」
「それは駄目です。ここでチャンスを逃したら、それこそ犯人の思うつぼです!」
警察の到着を待つというダグラスの意見は最もだが、それでは遅いと反論する香澄。
「でも香澄。現時点ではまだ〇〇が犯人と断定する、決定的な証拠がないのよ?」
「分かっているわ、ジェニー。……あぁ、何かいい方法はないかしら?」
必死に頭の中で、あらゆる可能性を考慮する香澄。その真剣な表情を見たジェニファーたちも、必死に考えを巡らせている。
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