【新・ルティア計画】
テキサス州 ルティア夫妻の隠れ家 二〇一五年六月一三日 午前一時〇〇分
シンシアとモニカ、そして『ルティアNO.Ⅳ』の策略にはまり、国外逃亡を目の前に殺害されてしまったルティア夫妻。三人は少しも動揺する素振りを見せることなく、黙々と次の計画に向けて準備を進めている。
「今頃この場所もそろそろ
シンシアのお願いを快く引き受けるという意味を込め、彼女の手を握る『ルティアNO.Ⅳ』。そんな二人の手を重ねるかのように、自分の手を合わせるモニカ。三人の決意はダイヤモンドより固く、そして強く結ばれているようだ。
「ところでシンシア、『NO.Ⅳ』。私一つ気になっていることがあるの……」
「? 何かしら、モニカ」
「うん。この計画のことを知っているのって、私たち三人だけでしょう? でも私たちと同じ遺伝子を持つ、『NO.Ⅲ』がまだ残っている。あいつの性格からして、絶対に私たちへ協力しないよ。だから、その……」
同じ研究所で一緒に過ごしたシンシアとモニカ・『ルティアNO.Ⅲ』の相性は最悪で、まさに犬猿の仲。仮に協力を求めても、断られてしまうのは明白。
万が一のことを考えた結果、『ルティアNO.Ⅳ』が“その点は近いうちに、こちらで対処しておく”とシンシアとモニカへ答えを出してくれた。それを聞いた二人は安堵し、一時の頬笑みを浮かべる。
「ねぇ……せっかくだから私たちの考えたプランにも、何か名前を付けない? その方が何かカッコ良いじゃない!?」
三人になった途端に口数が多くなるモニカの言葉を聞いて、“それも悪くないわね”とうなずくシンシア。
数分程テーブルで考えごとに明け暮れ、何か思いついたのかモニカが言葉をかける。
「アーサーやリサたちの裏をかくプランってことで……【新・ルティア計画】という名前はどう!? ほら、表向きはアーサーやリサたちの実験や研究ってことになっているから」
「【新・ルティア計画】ね……いいんじゃないかしら!? さすがモニカ、いいセンスしているわ」
「……ありがとう、シンシア。『NO.Ⅳ』もそれでいい?」
モニカの問いかけに、『ルティアNO.Ⅳ』はただ頷くだけだった……
「それじゃ決まりね・私たちと『NO.Ⅳ』が別れた後にこのプラン、じゃなくて……【新・ルティア計画】を実行に移しましょう!」
そう言いながら、シンシアは二人の前に右手を差し出す。計画の成功を祈るという意味を込めた、彼女なりの意気込みが感じられる。もちろん反対する理由はなく、モニカ・『ルティアNO.Ⅳ』という順番でシンシアの右手に手を重ねる。
「『NO.Ⅳ』はやることが多くて少し大変だろうけど……私たちはあなたの成功を祈っているわ!」
三人で計画した【新・ルティア計画】の成功を託すという意味を込め、シンシアとモニカは『ルティアNO.Ⅳ』の両頬にそれぞれキスをした……
果たして香澄たちは、この【新・ルティア計画】を阻止することが出来るのか?
『【新・ルティア計画】の全容について』
一 目的は『ルティアNO.Ⅰ・Ⅱ・Ⅳ』による、【ルティア計画】に関わった医師・研究員などの殺害。だがすでに【ルティア計画】を作りだした、(一) アーサー・ルティア (二) リサ・ルティア たちは『ルティアNO.Ⅰ・Ⅱ・Ⅳ』によって殺害される。
二 同じ研究所で育った『ルティアNO.Ⅲ』についても、三人は殺害を検討している。また【ルティア計画】の真相を暴く人物に対して、何らかの方法で殺害する可能性がある。
三 しかしシンシアとモニカの両名は身柄を拘束される予定なので、犯行を行う人物は正体が知られていない『ルティアNO.Ⅳ』となる。
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