Federal organization(連邦組織)
真相解明に向けた、合同捜査
九章
ワシントン州 ハリソン夫妻の自宅 二〇一五年六月一二日 午前八時〇〇分
バージニア州のダレス空港からワシントン州のシアトル・タコマ空港へ無事到着し、自宅へと帰宅した香澄とフローラ。彼女たちが帰宅すると、家にはジェニファーとケビンが“おかえりなさい”と出迎えてくれた。
昨晩香澄とジェニファーが電話で連絡を取り合ってから数時間後に、ケビンが帰宅する。そこで彼はジェニファーの口から、自分たちが今回の調査で真相に近づきつつあることを真っ先に報告する。
フローラほどではないが、不思議なことにケビンも【ルティア計画】についてある程度認識していたようだ。だが今もこの計画が水面下で行われていたとは、さすがのハリソン教授も夢に思わなかった。
事の真相を知ったケビンは、事件を調査している香澄・ジェニファーの世話をフローラに一存した。“今回のようなケースでは、ただの大学教授に過ぎない僕ではカスミとジェニーの力にはなれない”とケビンは判断したようだ。
それに加えてAMISAとFBIの合同捜査が行われることを知り、今回の一件については彼女たちを静かに見守る役割に徹することにしたケビン。
香澄たちがリビングで簡単な打ち合わせをしている間に、フローラのスマホの着信音が鳴る。とっさに自分の首の前で手の平を左右に振りながら、
「はい、ハリソンです」
とスマホにかかってきた電話に出るフローラ。
「もしもし。こちらFBIのダグラス・デイル捜査官です。失礼ですが、AMISA所属の フローラ・S・ハリソン捜査官ですか?」
電話をかけてきた男性は、FBIの国家保安部に所属する ダグラス・デイル特別捜査官。アメリカ国内のテロ対策に関する業務を行っており、これまでに多数の逮捕実績を持つ優秀な人物だ。
ダグラスが電話をかけてきた要件は、自分とパートナーのレベッカ・クレット特別捜査官の訪問に関する内容。初めての顔合わせということもあり、わざわざ電話で連絡してきてくれた。
「当初は午前中にそちらへ伺う予定だったのですが、こちらの都合で少し遅くなりそうです。申し訳ありません。時間はそうですね……午後三時くらいでもよろしいですか?」
「午後三時ごろ……ですか? 分かりました、そのように手配します」
右手にスマホを持ちながら、壁にかけてある時計に目を送るフローラ。
「それからもう一つ……すでに上から聞いていると思いますが、今回の合同捜査は極秘裏に行われるものです。なので
「それは重々承知しています――これでも私はAMISAの職員ですから」
「よろしくお願いします。それではまた後ほど……」
単刀直入に用件だけ伝え終えたダグラスは、そのまま電話を切った。
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