夜明け 2

それから私は身支度を終え、朝食の準備をしている百合子さんのもとへ向かう。


「今日はパンなんですね。」


「そうなの、なんだか今日はパンの気分だったのだけれど、いつも通りご飯のほうがよかったかしら。」


「ううん、たまには新鮮でおいしそうです。」


「よかったわ。うまく焼けてるはずだから、出来立てのうちに食べましょうね。」


…作ったのか。

どんな料理にも手を抜かず、和食派の百合子さんが、洋食を出してくるのは珍しい。


パン一つにも手は抜いていないけれど。


バターロールを半分に割ってみる。

焼きたてなので、ふんわりしていて少し熱い。


「いただきます。」


おいしいパンのせいで忘れるとこだったが、絵画の件はどうなったのだろう。

さすがに昨夜は遅かったし、今日私が学校に行っている間でも聞いてくれるのだろうか。


「(この話をすると百合子さんが少しだけいつもと違って怖かったから、さすがに昨日は聞いていないだろうし、今日帰ったら聞いてみよう。)」


必要以上にこの話題を出したくないし。

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