黎明
《ルビを入力…》「行ってきます。」
家の中にある1番大きな扉を開け、ベッドに向かって言う。
ここにはこの家の当主であるおじいさんが眠っている。
返事はもちろん返ってこない。
そのまま玄関へ向かうと、おばあさんがローファーを磨いてくれていた。
「ありがとうございます。」
おばあさんが用意してくれた、お弁当を鞄に入れつつお礼を言う。
「帰ってきたら、少しでもいいからケーキを食べてお祝いしましょうね。」
おばあさんは少し眉を下げたまま、口角をほんの少しだけ上げた。
「うん。わかりました。
じゃあ、行ってきます。」
「行ってらしゃい。」
今日はちょっと早歩きしながら帰ろう、
そう思った私であった。
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