第2話黎明

トントントントン…


朝から心地の良い包丁の音が聞こえる。

朝を感じる音だ。


「朝ごはんができましたよ~!」


声のする方からは、優しそうなおばあさんが味噌汁を片手に立っている。


「ありがとうございます。」


私はそう言い、自分のセーラー服を少し整えながら階段を降りる。


いつもと変わらない風景。

少し前の私から見れば、本当に幸せな日常である。


「今日もお仕事ですか??」


おばあさんが首をかしげながら聞く。


「そうですね、今日もまた22時までです。」


ただのバイトなのだけれど、こちらのおばあさんは口調が丁寧なので、決してバイトとは言わないのだ。


「せっかくの誕生日ですのにねぇ…今日ぐらい休んだらいかがですか?」


そう、今日は私の17歳の誕生日。

誕生日が冬なので、遅めではあるがやっと17歳になることができた。


「ごめんなさい、もうシフト入れてしまってるし、まだまだ稼がなきゃいけないから。」


「そうですか…」


おばあさんもそれ以上は何も言わなかった。

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