魔女の絵画を
@Yukinapen
第1話 薄明
父と母が毎日飽きもせずにただ眺めていたもの。
それを見上げる父と母の顔だけは、今でもはっきりと覚えている。
幼い私にはそれの良さは分からなかったけれども、
父と母が本当に大切にしているものなんだ、ということだけは分かっていた。
私にとっては大切でも何でもなかった。
でも今はちがう。
取り戻したくて仕方が無い、手元に置いておきたい。
また父と母に会える気がして、戻ってくるような気がして。
そんなことはありえないのだけれど、
私はなにかせずにはいられなかった。
それが絵画だったということだけは覚えているのだけれど。
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