第6話 襲われた国とさらわれた王女

 関所を抜けると、山道があった。別に山道はどうということはなく、短かった。山道を抜けても、変わりのない世界だった。

 山道を抜けて周辺を確認すると西は海、東は切りたった岩山で、南に行くしかない。北の方は今抜けてきた山道だ

 さて、山道を越えて、場所の切り替え、レゲーと来ると……モンスターが見たことのない奴らばかりです。これもまたレゲーのお約束。

 

 モンスター、強いです。一段階どころか、二段階強くなっている。

 前の大陸をくまなく探索して、レベルが上がり、装備を一新していたので、戦えているが、これ、アベルを仲間にした直後、調子に乗ってすぐに来ていたら、惨殺間違いなし。


 そして、新しい町を発見。

 直ちに情報収集をする。情報収集こそRPGの基本。

 まず、この町はダイータの町といい、キャッチフレーズが着いていた。『皆のお宿』ダイータらしい。どうして、『皆のお宿』というのか分からないが、とりあえず、そんな感じのキャッチフレーズを言ってくれた。

 この町から南に行くとすぐ近くに城があり、マヤイラスというようだ。その王女はたいそう美しいらしいが、最近、マヤイラスがモンスターに襲われ、王女はさらわれてしまったようだ。そのモンスターは城から東に飛び立っていったとのこと。


 マヤイラスはどうなっているかというと、なぜか王も含めて無事らしい。オープニングで傷ついた兵士がジーノ来ているのだが、そんな傷ついた兵士を選んだのはどうしてだ? よく分からない。


 とりあえず、ダイータの武器と防具の店を見ると、それなりにそろっている。ゲームを進めると強力な武器と防具が売られるようになる。これもまた不思議な話だ。もちろん、高すぎて買えない。前の町での最強装備が500G。この町の最強装備は2000G。一段低いのは1200G。


 情報収集をしていると一人の老人が

「奏よ、なんとここでも『約束の言葉』が聞けるようになったのだ。便利であろう」

といい、次のレベルまでに必要な経験値と約束の言葉を教えてくれた。

  

 ダイータでの情報収集を終え、マヤイラスに向かう。

 意外と近いな。城に着き、王様のところに一直線に向かう。全く警戒されていないというか、ザルもいいところだな。誰にも話しかけられることなく、王様のところまで一直線。

 まさか、王女もこんな感じでさらわれたんじゃないだろうな。

「おお、ジーノ王子よ。待っておったぞ。お主もすでに聞いておるところと思うが、我が娘『ナナミ』が邪教の司祭ラルドにさらわれたのだ。我が兵士も必死に戦ったのだが、ラルド率いるモンスターにかなわなかったのだ。そこで、お主の城の王に使いを出したのだ」

 ん? 王女の名前が? 不吉な名前だったような気がする。


「奏王子よ。どうか我が娘ナナミを助けて欲しい。娘はここから東にある塔に捕らえられている。娘を助け出すことができたのであれば、この城の秘宝、『氷の杖』を授けよう。では、行け、奏王子よ」


 いやいや、待てよ。

 いきなり命令ですか? 他の兵士達は? いる場所も分かってるんですよね? どうして軍がいかないのですか? それから、誘拐の目的はなんですかね? 下手に動くとまずいんじゃないっすかね?


 さまざまな疑問が湧き出る。そこらへんを確認しようと、王様に話しかける。

「おお。奏王子よ。よくぞ来た……(中略)……では、行け、奏王子よ。」

 

 ……新しい情報は何もない。語学力学習モードのプレーヤーだな。同じ言葉の繰り返し。しかも、ここの王様は約束の言葉を教えてくれないのね。そりゃ、ダイータの町で約束の言葉を聞かせるということにもなるわ。

 ゲームだから仕方ないとは言え、投げっぱなし。

 仕方ないので、王様以外に話しかけてみると、この城の秘法である氷の杖がないと、先に進めない仕様だということが分かった。

 もちろん、そのことを直接的に教えてくれる訳ではない。


 情報としては、西に川があって、渡れないということ。氷の杖があれば、川を渡れるということの2つだった。

 無理矢理にでも助けに行かせることになっていて、中ボスがいて、ゲームバランスをとるようになっているのだろう。このあたりはさすがに国民的RPG。第2作とはいえ、配慮して作られている。


 よし、塔に向かうぞ。

 きっと塔というからにはダンジョンになっているだろう。

 初の本格的なダンジョンの攻略だ。

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